来年1ドル130円になると日本株下落?二つのシナリオ

 米金利がピークアウトする中で、日本の金利が上がれば、来年は1ドル=130円台まで円高が進む可能性もあると考えています。その場合、日本株はどうなるでしょうか?

 日本株について、これまで長年にわたって、「円安なら株高、円高なら株安」という関係が続いてきました。円安が日本の企業業績を押し上げ、外国人投資家の日本株買いを招いてきた面があることは事実です。

 もし、円高に反転すれば、それ自体は日本株にとって株安要因と考えられます。ただし、どういう環境で円高が起こるかによって、日本株の反応は変わると思います。

【1】米ソフトランディング・シナリオならばマイナス影響は小さいと予想

 米景気が堅調を保つ中で米インフレが低下、米金利が低下していくソフトランディング(軟着陸)・シナリオが実現するならば、1ドル=130円まで円高が進んでも、日本株へのマイナス影響は限定的と考えます。

 1ドル=130円まで円高が進むと仮定すると、楽天証券経済研究所では、東証プライムの純利益を4.8%押し下げる要因となると推定しています。

 ただし、為替レートは企業業績を決めるたくさんの要因の一つに過ぎません。米景気が堅調を保ち、リオープンによる内需回復が進む中で1ドル=130円になるならば、企業業績全体は円高要因をカバーして増益を継続できると考えています。

 従って、ソフトランディングの中での円高ならば、日本株に対する影響は小さく、日経平均株価はさらなる上値を目指すと予想しています。

【2】ハードランディング・シナリオならばマイナス影響が大きくなる

 米景気が急激に悪化する中で、米インフレ・米金利が急低下し、円高が進むならば、日本株へのマイナス影響は極めて大きくなると考えられます。このシナリオだと日本の景気も腰折れとなる可能性があります。

 私は、メインシナリオとして【1】を考えていますが、リスクシナリオで【2】になる可能性も残っています。どちらになるか、決め打ちはできません。

 日本株の投資方針は、いつも述べていることと変わりません。日本株は割安で、長期的に良い買い場と考えています。ただし、さまざまなショックで日本株が短期的に急落する可能性は常にあります。従って、リスク管理は大切です。

 時間分散しながら、割安な日本株を少しずつ買い増ししていくことが資産形成に寄与すると考えています。

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