10月雇用統計の予想

 BLS(米労働省労働統計局)は、11月3日に10月の雇用統計を発表します。

 NFP(非農業部門雇用者数)の予想は+18.3万人で、直近3カ月の就業者の平均値+24.0万人を下回る見通しとなっています。失業率は前月比横ばいの3.8%の予想。

 就業者数の急減は、UAW(全米自動車労組)の大規模ストライキという特殊事情によるものであり、米経済全体に大きな異変が発生したわけではありません。UAWと大手自動車メーカーとは暫定的合意に達したもようなので、次回の就業者は大幅に増加する可能性もあります。

 前回9月の雇用統計も、+16.8万人の予想に対して、結果はその約2倍の+33.6万人と大きな差がありました。いずれにしても今回も注意が必要です。

 平均労働賃金の予想は、前月比は0.1ポイント上昇の+0.3%、前年比は0.2ポイント下落の+4.0%となっています。平均労働賃金の上昇率は、FRB(米連邦準備制度理事会)が期待するよりまだ高いものの、今後は失業率と労働参加率の上昇によって、緩やかな低下が期待されます。

 全体としては、米国の雇用市場は「鈍化」しているけれど、「悪化」というほどではなく、「This is 最高にちょうどいい」状態です。雇用や所得に対する将来不安の低さが、米国人を貯蓄よりも消費に向かわせていることは、米小売売上高の強さに表れています。

 FOMC(米連邦公開市場委員会)は、次回12月の会合で利上げするのか。それとも利上げはこのまま終了するのか。その大きなカギを握るのが今回の雇用統計です。