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 今日はECBが政策金利を発表する。

 ECBは前回9月の定例理事会において、政策金利据え置きの予想に反して0.25%の利上げを決定してデポ金利を4.00%に引き上げた。しかし、その後の記者会見でラガルド総裁が「金利はインフレ率を目標に戻すのに、十分な水準に達した」と述べたことがECBの利上げサイクル終了と受け取られた。

 ユーロ/ドルは5月の1.0635ドルを安値に、7月には年初来高値となる1.1275ドルまで上昇したが、この発言が引き金となって、3ヵ月間の上昇分を全て吐き出す結果になった。

 ラガルド総裁が利上げ終了を示唆する一方で、ECBは来年のインフレ見通しを上方修正した。政策に一貫性がないこともユーロに対する信頼低下につながった面がある。

 ユーロ/ドルはその後も下落を続け、10月に年初来安値の1.0448ドルをつけたが、現在は1.05ドル台まで回復している。とはいえ、9月のECB会合後の安値近辺に戻った程度で、今年のユーロの高値と安値の半値にも達していない。

 今週発表された、ECBも注目する欧州のPMI(購買担当者景気指数) の10月は、ユーロ圏の景気悪化がおそろしいほどのスピードで進行していることを示す結果となった。欧州の製造業PMIは7カ月連続で減少し、サービス業は3カ月連続で減少した。国別でみると、フランスの製造業PMIは41カ月ぶりの低水準となり、ドイツのサービス業PMIは好不況の分かれ目となる50を大幅に下回った。企業活動が鈍化するなかで、フランスの雇用者数は2020年11月以来初めて前月比で減少した。ドイツの雇用者数は前月を上回るペースで減少している。

 ECBのタカ派メンバーからも、利上げサイクルは「もう確実に終わった」との見方が出るなかで、ECBが今日の会合で政策金利の据え置きを決定するのはほぼ確実だ。それでもラガルドECB総裁は「長期間にわたる高金利」を強調するだろうが、マーケットの焦点は、ECBが「いつ利下げ」をするのかに移っている。ドイツIfo経済研究所は、ECBが2024年後半に利下げに踏み切る可能性があると予想する。あと1回の利上げを温存するFRBとの政策の違いがはっきりしてきた。

2023年 ユーロ/ドル データ

出所:楽天証券作成

今週の注目経済指標

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