1:数年単位の株式市場の停滞・調整の可能性はあるのか?

 2008年9月のリーマンショックで暴落した株式市場が回復して以降は、数年単位の株式市場の調整はありませんでしたが、過去を振り返ると数年間の調整は珍しくありません。世界的にインフレと利上げが行われていることを考えると、可能性は十分あるでしょう。

 本来株式相場は景気の影響を受けて4つのサイクルがあるといわれています。

 景気を回復させるために政府の金融緩和によるカネ余りを背景に株価が上がる「金融相場」、金融緩和の効果で企業業績が回復しはじめる「業績相場」、緩和によって景気の過熱感や過度なインフレを抑えるために金融引き締めサイクルとなる「逆金融相場」、引き締めによって景気が落ち込んで企業業績も悪化する「逆業績相場」です。

出所:筆者作成

 単純に4つのサイクルを繰り返すというわけではありません。政府や中央銀行が目指しているのは、企業業績が上昇しながらも景気がほどよく良い状態(金利・インフレが適正な水準の状態)が続く「適温相場」と呼ばれる業績相場が続くことです。世界の株式市場の中心である米国では、2009年以降は金融緩和を繰り返しつつ適温が続いていました。

 そして2022年になり米国では金融緩和から、引き締めへと金融政策がかわりました。これは株式相場のサイクルが変わる大きなきっかけです。これまで10年以上続いていた株式相場とは違うサイクルに入り、停滞・調整がすでに始まっていることを想定しなければいけません。