先週末27日(金)の日経平均株価は3万991円で取引を終えました。

 週足ベースで2週連続の下落となったものの、前週末終値(3万1,259円)からは268円安と、単純な週末の終値比較ではあまり下げていないようにも感じられますが、週間の日々の値動きを振り返ると、前回のレポートでも指摘したように、値動きはかなり荒く、かなり「しんどい」展開だったと言えます。

やはり「しんどい」展開だった?先週の日経平均

図1 日経平均(日足)の動き(2023年10月27日時点)

出所:MARKETSPEEDⅡを元に筆者作成

 実際に、上の図1を元にして、先週の日経平均における日々の値動きを追っていくと、以下のようになります。

  • 23日(月):前週末比で259円安となって、3万1,000円台を下回る
  • 24日(火):前日比62円高で終えたが、一時400円安の場面もあり、下ヒゲが長いローソク足を形成
  • 25日(水):前日比207円高と続伸し、5日移動平均線を回復
  • 26日(木):「窓」空けを伴って下落。前日比で668円安となったほか、再び3万1,000円台割れ
  • 27日(金):前日比389円高と持ち直す動きを見せるも、3万1,000円台は回復できず

 このように、先週の日経平均は節目の3万1,000円水準を挟んで、株価が上下に振れる展開となりました。下値については、10月4日の直近安値水準が意識されているように見えますが、現在の株価の下には200日移動平均線や、安値どうしを結んだ下値ラインが控えていることもあり、下値を探る余地は残されています。

 反対に、今週の株価が上昇していった場合には、3万2,000円の株価水準をはじめ、25日・75日移動平均線が上値の目安として意識されることになります。図1でも、直近の株価がこれらの目安で上値が抑えられている場面が見られます。

先週の荒い値動きが意味するもの

 また、先週の荒い値動きが、「今後の相場の行方を示唆しているか?」と言えば、むしろ、迷いを示しているものと思われます。その理由としては、売買があまり盛り上がっていなかった点が挙げられます。

 具体的に、先週の東証プライム市場の売買代金の推移を見て行くと、以下のようになります。

23日(月):2兆8,792億円
24日(火):3兆7,241億円
25日(水):3兆1,379億円
26日(木):3兆2,880億円
27日(金):3兆5,383億円

 2023年1月~9月の1日平均の売買代金が3兆6,842億円ですので、先週の荒い値動きが、多くの投資家を巻き込みつつ、売買代金が増えていったわけではありません。そのため、先週の日経平均は、短期的に株価が上下に振れるが、方向感に欠ける推移の中で、中長期的な相場の「次の展開」を待っている、もしくは探っているような印象です。

株価材料的には、相場の「次の展開」への道筋が見えてくる?

 では、相場の「次の展開」の道筋が、いつ見えてくるのかについてですが、そろそろその兆候が表れてくるかもしれません。というのも、今週の株式市場は、いわゆる「月またぎ」で11月相場入りしますが、先週に続いて多くのイベントが予定されています。

 週の序盤には、日銀金融政策決定会合(10月30日~31日)や、米FOMC(連邦公開市場委員会:10月31~11月1日)といった金融政策イベントのほか、週末には月初恒例の米雇用統計(10月分)の発表も控えています。

 さらに、日米の企業決算も相次ぎます。企業決算については、今週は米国よりも国内企業の方が多く、トヨタや大手商社、レーザーテックなど、600社を超える企業が決算を発表する予定です。

 これらのイベントの動向次第では、株式市場が新たな動き、つまり「次の展開」の道筋が見えてくる可能性があります。

カギを握るのは米国株市場の動き

 そして、この「次の展開」に向けた重要な要素として、米国株市場の動きがカギになりそうです。

図2 米S&P500(日足)の動き(2023年10月27日時点)

出所:MARKETSPEEDⅡを元に筆者作成

 先週のS&P500は、株価が200日移動平均線から下放れるなど、軟調な展開となりました。6月・7月・9月の高値を頂点とする「トリプル・トップ」の完成が明確となったほか、足元の保ち合いの下限の線も下抜けるなど、下方向への意識を強めています。

図3 米NYダウ(日足)とMACD(2023年10月27日時点)

出所:MARKETSPEEDⅡを元に筆者作成

 米NYダウも、先ほどのS&P500と同様に軟調な展開となりましたが、その一方で、底打ちを期待させるサインもいくつか出現しています。

 ひとつめのサインは、図3にもあるように、逆「カップ・ウィズ・ハンドル(Cup with handle)」のカップの深さまで株価が下落し、ひとまず想定される下げ幅を達成した点です。

 ふたつめのサインは、株価が直近で安値を更新する一方、下段のMACDが下値を切り上げる「逆行現象」が出現していることです。逆行現象には、トレンド転換型とトレンド継続型の2種類がありますが、足元のNYダウで出現しているのは、トレンド転換型になります。

図4 米NASDAQ(日足)とMACD(2023年10月27日時点)

出所:MARKETSPEEDⅡを元に筆者作成

 先週の米NASDAQも軟調な展開となりました。とりわけ、週末にかけての下落によって、これまで回避されてきた、トリプル・トップのネックラインを下抜けたほか、さらにその下に位置している200日移動平均線も下回ってしまいました。

 ただ、株価はまだ200日移動平均線からあまり離れていないことや、週末の2日間のローソク足の組み合わせが「はらみ足」となっていることもあり、いったん下げ止まることも考えられます。

 以上のように、先週の主要米国株指数は、下方向の意識が強まる中で、「株価の底打ち反転」と、「さらなる下げ加速」の攻防戦となっており、どちらに軍配が上がるのかは、今週のイベント次第の面もあるため、今週の株式市場は思ったよりも大きく動く可能性があります。