今日の為替ウォーキング
今日の一言
自分のシステムがポジション保有を指示したら、自分の衝動が何を言おうとも、小さな利益を実現する誘惑に負けてはいけない
Rasputin
米国の政策金利がピークに達したと考えるのは時期尚早である。FRBは金融引き締めの遅効性を理由にして利上げを見送った。これ以上利上げをしなくても、その影響は今後じわじわと経済に表れてくると考えているのだ。
しかし、今年初めに起きたSVB(シリコンバレー銀行)の破綻の時点で、影響の大部分がすでに出てしまったとの見方もある。FRBがいくら待とうが、これから効果が表れることはない。
一方で、大統領選挙に向けたバイデン政権は複数の大型財政支出を検討している。原油価格も上昇に転じた。つまり米国のインフレは、今後悪化することはあっても、劇的に低下することはほとんど期待できないということになる。
米国政策金利は、FRBが考えているほどには引締め的でない可能性がある。パウエルFRB議長も今回のFOMC後の記者会見でこれを初めて公式に認めた。FRBはまだ利上げが足りないのだ。
米国経済のハードランディング(景気後退)は回避されたというのはあまりに楽観的だ。先延ばしされているだけだと考えた方が良い。インフレと利上げの追いかけっこの状況が変わらなければ、近い将来発生することは避けられない。
では、ハードランディングを避けてソフトランディングにもっていくためには、どうすればよいか?それには、労働市場の失業率を4%以下で安定させたまま、インフレを2%以下に下げることが条件となる。
ところが、パウエルFRB議長は、インフレ目標2%を恒常的に維持するために失業率を3.6%から4.5%まで引き上げる必要があると考えている。利上げサイクルの後に失業率が0.5ポイント以上高くなった場合、ハードランディングする。このようなことが、過去に11回も発生している。今回が12回になる可能性は否定できない。