3:NISAを使うことが前提で、通常、証券投資で利用される特定口座や税金のことを理解せずに始めてしまう(=基礎知識の不足)

 NISA(ニーサ:少額投資非課税制度)といえば、利益に対して非課税で有利という点が注目されがちです。そのため、通常の取引で使われる特定口座(※)と比較して、メリット、デメリットを理解せずに投資している方が多くいます。

 特定口座とNISA口座の取引は、損益通算ができません。特定口座で買い付けした投資信託に利益が出ていて、NISA口座で買い付けした投資信託が損失となっている場合、「節税効果が期待できない」ということも起きています。

※特定口座:譲渡損益などを証券会社が計算する口座。投資家本人が税計算する必要がなく、金融機関が発行する「年間取引報告書」を用いて確定申告を行うことができる。また、「特定口座(源泉徴収あり)」を選択すると、特定口座内での売買などで生じた利益に対する所得税や住民税を、取引金融機関が源泉徴収し、代わりに納付する

4:iDeCoとつみたてNISAを比較するときに、iDeCoの所得控除と受取時の退職所得控除(または公的年金控除)の仕組みを理解していない(=税制への理解不足)

 証券投資をするときには、投資した資産が値上がりするか、その資産からの配当や利息から得る運用益で資産を増やしていきます。しかし、iDeCo(イデコ:個人型確定拠出年金)では資産が増えなくても、投資した金額にあわせて所得控除という節税が期待できます。これは、収入が高ければ高いほど税金の支払いが減ることになるので、iDeCoで選択した投資資産が現金同等資産だとしても、税金が減ることで、結果的に資産が増えることが期待できます。

 資産運用では普段聞き慣れないような単語が多く出てくるため、考えることがつい面倒になってしまいがちですが、制度の内容はしっかり理解しておきましょう。

5:iDeCoで投資をしているのに、確定申告は年末調整で行っているか、自分で申告する必要があるのか、職場に確認していない(=事務手続きの理解不足)

 iDeCoは投資を始めようとした方が一度は目にするぐらい、普及が進んでいる制度だと思いますが、まだまだ知らない方も多いのが現状です。

 まず、iDeCoを始めるにあたって、勤務先に自分が始められるかどうかを確認する必要があります。しかし、このとき、支払方法によって、年末調整で会社が手続きしてくれる(事業主払い)のか、自分で確定申告をする必要があるのか(個人払い込み)、詳しい制度の違いまでしっかり教えてくれるかは分かりません。勤務先でiDeCoをしている人が少ない上に、事務担当者も詳しく制度を理解していないことから、自分で確定申告しなければならないことを知らなかったという方もいます。

 しかし、知らなかった場合は自己責任です。やはり制度の内容はしっかり理解しておきましょう。