今日の為替ウォーキング

今日の一言

目標達成のためには、「大きな行動を始めるための小さな行動」を設定することだ

Pride

 世界の中央銀行にとって、インフレ期待の定着は悪夢でしかない。しかし、日銀だけは何十年もの間、日本がそうなることを望んできたのだ。

 日銀はインフレ期待を抑えるのではなく、逆に刺激することに集中している。円安を放置して輸入インフレに火をつけ、日本人の意識に物価上昇を強く植え付ける努力をした結果、ついに日銀はインフレの離陸に成功した。日本の消費者のインフレ期待は急激に上昇している。消費者の意識は「もう少し待てば安くなる」から「今日買わないと明日はもっと高くなる」へと変わった。かくして日本の物価はどんどん高くなるのだ。

 植田日銀総裁は「長期的に2%のインフレ目標が達成された暁には、インフレ予想も大体2%になる」と述べ、インフレ期待が起きただけでは満足せず、さらに定着することを望んでいる。しかしインフレが2%の水準で都合よく止まるわけがないのは、他国の中央銀行がすでに証明している。

 もっとも、日銀は利上げしたくても、絶対に「できない理由」がある。将来税収で返済する必要がある国の長期債務残高、いわゆる「国の借金」は昨年6月末時点で1,255兆1,932億円だったと財務省が発表した。国民1人あたりで単純計算すると、初めて1,000万円を超えた。慢性的な財源不足が続いているほか、新型コロナ対策の巨額支出も借金増に拍車を掛けている。債務残高はここ10年で1.5倍に急増した。

 金利が上昇した場合の利払い費負担が財政運営にとって重大なリスクとなる。日銀が利上げによって円安を抑える、あるいはインフレを抑制することは、ほぼ不可能な状態になっているのだ。

今週の注目経済指標

出所:楽天証券作成