FX取引で得られる利益とは?
投資には、株式投資以外にも投資信託や債券などさまざまな金融商品に投資するものがあります。中でも、通貨に投資するFX取引はなじみ深いものではないでしょうか。
筆者もFX取引を行っていますが、デイトレードのような短期売買ではなく、為替変動のトレンドの波に乗った中期投資を行うことが多いです。
このFX取引で得られる利益には2種類があります。一つが為替レートの変動で得られる為替差益であり、いわば「キャピタルゲイン」です。
もう一つは通貨間の金利差により受け取ることができるスワップポイントで、こちらは「インカムゲイン」の位置づけになります。
FX取引で得られた利益はどの所得になるの?
例えばここ最近のような円安・ドル高局面においては、ドルを買って保有することで、為替レートがその後円安に進めば為替差益を得ることができます。
また、米ドルの方が日本円より金利が高いので、その金利差の分だけ、ドルを保有することによりスワップポイントを獲得できます。
ちなみに、円を買う(ドルを売る)場合は、逆に金利差の分だけマイナスのスワップポイント(つまり損失)が発生することになりますから注意が必要です。
株式投資であれば、売却益は譲渡所得、配当金は配当所得というように、キャピタルゲインとインカムゲインとで異なる所得として扱われます。
しかしFX取引では、為替差益もスワップポイントもひっくるめて「申告分離課税の雑所得」となります。税率は所得税15.315%、住民税5%の計20.315%で、他の所得に関係なく同じ税率です。
これは、先物・オプション取引やCFD取引と同じカテゴリーとなります。
知らなきゃ損する!損益通算・損失繰り越しのルール
FX取引は、上場株式などのように「特定口座」の制度はありません。また、源泉徴収の制度もありません。
したがって、原則として自身で損益を計算し、確定申告し、納税する必要があります。
ただ、近年は証券会社やFX会社にて、損益を計算したデータを交付してくれることが多いので、それを使えば確定申告はそれほど大変な作業ではないと思います。
また、FX取引で損失が生じた場合、同じカテゴリーである、先物取引、オプション取引、CFD取引などで得た利益と損益通算することができます。
そして、損益通算できずに残った損失がある場合は、確定申告することにより翌年以降3年間繰り越して、翌年以降のFX取引、先物取引、オプション取引、CFD取引など同じカテゴリーのもので生じた利益と相殺することができます。
ただし、上記のいずれも、確定申告することが条件になりますので、損失が生じたからといって確定申告を忘れないようにしましょう。
海外のFX会社で取引した場合はどうなる?
上記については、国内の証券会社やFX会社と取引した場合の税制です。
近年、FX取引を海外のFX会社を通じて行う個人投資家の方も増えていますが、実は海外のFX会社を通じてFX取引を行った場合、税金の扱いが大きく異なります。
海外のFX会社が「第一種金融商品取引業者」もしくは「登録金融機関」に該当しない場合、FX取引で得た利益は「総合課税の雑所得」となります。
国内の証券会社などを通じてFX取引をした場合の利益は「申告分離課税の雑所得」ですから、同じ雑所得ではあるものの異なる税体系となっているのです。
総合課税ですから、給与所得、事業所得、不動産所得など、他の総合課税の所得と合算し、累進税率により税額が計算されます。
給与所得など他の所得が多いような場合は、FX取引による利益に対して50%を超える税率で課税される可能性もあります。
税引き前では同じ利益だったのに、国内の証券会社と海外のFX会社とでは、税引き後の手残りの金額に大きな差がつくこともあり得るのです。
そうした意味では、特に投資初心者・初級者の方は、FX取引は国内の証券会社やFX会社を通じて行うのが無難でしょう。