今日の為替ウォーキング
今日の一言
失敗したのではない。何千種類ものうまくいかない方法を発見したのだ – エジソン
Wouldn't It Be Nice
今夜発表の9月米雇用統計の詳しい予想については「強い雇用統計が「9月FRB利上げ」の引き金に?ドル/円150円台突入リスク高まる 8月米雇用統計 詳細レポート」をお読みください。
人々の経済活動は、季節単位の規則性がある。例えば、 12月はクリスマスシーズンで経済活動が活発になり、1月はその反動で低調になる。ところが、新型コロナ禍が何十年も続いてきた人々の行動様式を劇的に変化させたことで、従来のパターンが全く役に立たなくなってしまった。観光はクーポンの期限に合わせて行く人が増えて季節性が消えた。真夏でも温泉地が混んだり、真冬でもビーチホテルが一杯になったりする。
米国の雇用市場で、1月の就業者は+52万人を記録した。これは過去10年間の同月の平均である+23.5万人と比べてモンスター級の増加数であるばかりではなく、経済活動が低下するはずの1月の雇用としても異常である。
しかし、これは季節調整が機能しなくなったことが原因である。重要なことは、雇用市場全体における総数は増加していないということだ。今年前半の雇用者の大幅な増加は、後半までに同規模の大きな減少で埋め合わされる公算が大きい。
非農業部門雇用者数は、これまで予想よりも結果の方が多い「アップサイド・サプライズ」が続いてきた。しかし、6月の雇用統計からは、逆に結果が予想より少ない「ダウンサイド・サプライズ」となっている。「季節調整の調整」が始まったのか、あるいは新型コロナ後の熱狂的な雇用ブームがついに終わりを迎えたのかもしれない。
雇用統計は、FRBの金融政策の方向に大きな影響を与える。季節調整の混乱したデータのせいで、FRBが必要以上に利上げを行ってしまったとすれば、下半期から来年上半期にかけては「大幅利下げ」という形で再調整されるリスクもあるということだ。
FRBの金融政策を決定するために使用するデータの信頼度が低いというのは大きな問題である。冷静な分析ができず、直感や先入観に頼ってしまえば、米国はもとより世界の金融市場が誤った方向に誘導されるリスクが高くなる。