今日の為替ウォーキング
今日の一言
「私は天才ではない。ただ人より長く一つのことと付き合ってきただけです。」-アインシュタイン
Pamela
FRBには慣性の法則が働いている。2年前のFOMCは、インフレが一過性でないことが明らかになった後も「一過性」モードから抜け出せなかった。そして現在は「より高く、より長く」モードから抜け出せずにいる。「今後の利上げについては、経済指標の結果を踏まえて判断する」とパウエルFRB議長が述べているように、FRBは金融政策の判断を経済データに極端に依存するようになった。
経済サイクルの初期においてこれは良い戦略であるが、サイクル後期には過ちを犯しやすい悪い戦略となる。経済データは、常に過去を振り返るものであり、現在との時間差の発生が必ず起こる。将来を見据える金融政策との相性が非常に悪いのだ。
FRBは過去に、利上げ開始を急ぎすぎてインフレ目標達成に何度も失敗したという苦い経験がある。それで利上げをためらっているうちに、インフレが目標値の4倍の8.0%まで暴騰するのを許してしまった。
ところが、今のFRBは「1970年代の過ちを繰り返してはいけない」と口にする。その当時、FRBが利上げを早めに終了したせいで、インフレが再発するのを許してしまった。このときのトラウマで、FRBは利下げに踏み出す勇気がないのだ。
日銀もまた、過去の声明にとらわれている。10年前に政府と日銀が合意した、「2%の物価安定目標」をできるだけ早期に実現することを目指すという共同声明のせいで、日銀は緩和政策から抜け出すことができずにいる。東京都区部の物価が1981年以来約42年ぶりの上昇を記録しても、まだ「ためらわず一段の緩和を行う」と繰り返す。
日銀の緩和政策に対する圧力は高まっている。企業経営者や学識者による政策提言団体である令和臨調は、日銀が2%物価目標を早期実現ではなく長期的な目標に切り替えることで、異次元緩和政策を修正するべきとした。提言にはさらに、金利機能の回復と国債市場の正常化、市場との対話の強化なども盛り込まれた。しかし、共同宣言そのものが、日銀の独立性を脅かしているとの指摘もある。