米国市場は企業業績の回復と拡大見通しを視野に
目先の米国株式市場は、4-6月期の決算発表に一喜一憂する動きが想定されます。ただ、すでに決算を発表したJPモルガンやバンク・オブ・アメリカなど金融大手が発表した業績が市場予想を上回り注目されました。
S&P500種指数を構成する500銘柄のうち59社(約12%)が決算発表した時点(19日)で、売上高総額は前年同期比+10.3%の増収、利益総額は同+9.7%の増益。売上高を巡るサプライズ率(市場予想に対する実績の乖離(かいり)率)は+1.9%、利益を巡るサプライズは+8.4%とそれぞれポジティブ・サプライズとなっています(Bloomberg集計)。
多くの企業決算が控えており予断を許しませんが、決算発表の初期状況は市場に安堵(あんど)感をもたらしました。
今後、3月に発生した金融不安の影響を受ける地方銀行の業績悪化が明らかとなる可能性があり、昨年からの連続利上げの累積効果で製造業の決算やガイダンス(業績見通し)が鈍化するとの見方もあります。ただ、市場は中期的な業績回復・拡大トレンドを織り込んでいく可能性があります。
図表3は、S&P500とナスダック100をベースにした暦年EPS(1株当たり利益)の実績と市場予想平均(予想は2023年、2024年、2025年)を示したものです。2023年は通期で微減益が想定されているものの、2024年は最高益に回復し、2025年は利益が一段と拡大する見通しとなっています(Bloomberg集計)。
特にナスダック100の予想EPSは2024年に19.4%の増益、2025年は14.5%の増益と二桁成長が続くと見込まれている点に注目しています。「株価は業績」との格言に沿い、大規模な生成AI革命を原動力とするナスダック相場が米国株式をリードし続けているトレンドに期待したいと考えています。
<図表3>市場は企業業績の回復と拡大見通しを視野に
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