インフレ率鈍化で米国景気の軟着陸期待が浮上
インフレ率が減速傾向をたどっていることで、米国の消費者信頼感が改善している状況に注目したいと思います。ミシガン大学が14日に発表した7月の消費者マインド指数(速報値)は6月実績(64.4)から72.6へ上昇し市場予想平均(65.5)を上回りました。
同指数としては2021年9月(72.8)以来約2年ぶりの高水準となりました。前週に発表された6月のCPIやPPI(生産者物価指数)の前年同月比伸びがともに鈍化。インフレが和らぐ一方、雇用情勢が堅調を維持していることが背景と考えられます。
ミシガン大学で消費者調査を担当する責任者は「低所得者層を除き、消費者信頼感は全ての層で上昇した」と指摘。「労働市場の安定に加え、インフレの継続的な鈍化によるところが大きい」と述べました(ロイター報道)。図表2で示すとおり、CPIの上昇率が減速傾向をたどる中、消費者マインド指数が改善に転じたことがわかります。
米GDPの約7割を占める個人消費のセンチメントが改善したことで、年後半に向けた景気後退を巡る悲観は和らぎ、景気のソフトランディング観測が浮上したことが株式市場の堅調を下支えしています。
イエレン米財務長官は17日、米国がインフレ抑制で良好な進展を遂げており、「成長は減速したものの、労働市場は引き続き非常に堅調だ。リセッション(景気後退)は想定していない」と述べました(Bloomberg TVとのインタビュー)。
インフレが和らぐ中、FRB(米連邦準備制度理事会)による利上げ長期化観測も後退。債券市場金利が安定に転じていることも株式市場堅調の追い風となりました。