今日の為替ウォーキング
今日の一言
焦ることは何の役にも立たない。後悔はなおさら役に立たない。焦りは過ちを増し、後悔は新しい後悔をつくる – ゲーテ
Born in the U.S.A.
BLS(米労働省労働統計局)は、今週金曜日(7日)に6月の雇用統計を発表する。FOMC(米連邦公開市場委員会)が利上げを再開するかどうかの判断は、「経済データ次第」とパウエルFRB議長が言明しているため、これからFOMC(7月25、26日)までの経済データをマーケットは注視している。この日発表された6月の製造業ISMは46.0と、8カ月連続で50を下回った。
雇用統計でFRBが重要視するのは、雇用者の増加数よりも賃金上昇率だ。米国の労働市場は、ベビーブーマー世代を中心としたグレート・レジグネーション(大量離職)によって、構造的な働き手不足に陥っている。労働力確保のために、企業はより高い給料を払う必要があり、その労働コストは価格に転嫁されてインフレも上昇する。インフレで生活が苦しくなる労働者は、より高い給料を求めて会社を移る。このような「悪循環」をFRBは懸念しているのだ。
ところが前回5月の雇用統計では、雇用が増えて、賃金が下がった。米国経済の体力はそのままで、インフレだけが低下する可能性が見えてきたということで、FRBにとっては喜ばしい結果となった。
FRBは、22年3月から10会合連続で利上げしてきたが、6月のFOMC(米連邦公開市場委員会)で、ついに休止を決定した。雇用統計の結果が、FRBに様子見する余裕を与えたと考えることもできる。パウエルFRB議長は、年内あと2回の利上が必要であると述べタカ派的姿勢を崩していないが、雇用者増加数が頭打ちになり、労働賃金の低下傾向がはっきりしてくれば、利上げはもう必要はないと判断するかもしれない。
FOMCは今月利上げを再開するのか。それとも利上げサイクルはすでに終わったのか。今週の雇用統計が重要なヒントになる。