FRBは米国経済のソフトランディングを見込む
14日のFOMCで公表された最新のSEP(Summary of Economic Projections:経済・金利見通し)では、FOMCメンバーが経済見通しを上方修正したことが示されました。図表2で示したSEP(概略)でみるとおり、2023年の実質GDP(国内総生産)成長率は3月時点での見通し(+0.4%)から+1.0%へと上方修正され、失業率は3月時点見通し(4.5%)から4.1%へ下方修正されました。
すなわち、FOMCメンバーの予想中央値は「本年の米国経済が厳しい景気後退入りに至らない」と見込んでいることを示しています。
一方で、景気の底堅さでインフレ率(PCEコア)の見通しは3月時点見通し(3.6%)から3.9%へ上方修正。政策金利見通しは3月時点見通し(5.1%)から5.6%へ上方修正されました。金融当局として追加利上げの可能性を示唆するタカ派姿勢を印象付けました。
昨年3月から続いた利上げサイクルが終着点(ピーク)に近づいているとの判断に変わりはありませんが、パウエル議長がFOMC直後の記者会見で表明したとおり、今後発表される経済・インフレ指標の結果次第で、次回(7月25~26日)や次々回(9月19~20日)のFOMCで追加利上げが決定される可能性は否定できません。
一方、来年の大統領選挙をにらんだバイデン民主党政権が、FRBの利上げ継続姿勢に(暗に?)「待った」をかける可能性も指摘されはじめています。過度の利上げが景気を冷やす影響(オーバーキル)をもたらし、大統領選挙での与党勝利を遠ざけるリスクがあるからと推測されています。