株式市場は追加利上げ懸念でスピード調整
米国市場でS&P500種指数は15日に年初来高値(4,425.84)を付けた翌日以降、3日続落となりました(21日)。前週に利上げを見送ったFRB(米連邦準備制度理事会)が公開したFOMC(米連邦公開市場委員会)メンバーの政策金利見通しの上方修正を受け、追加利上げ懸念が利益確定売りを誘ったとみられます(図表1)。
一方、雇用指標、消費指標、住宅指標が底堅いことで、米国経済のソフトランディング(軟着陸)期待は根強く、S&P500が昨年10月12日に付けた直近安値から2割以上上昇したことで確認された「強気相場」における短期的な調整と考えられます。
FRBのパウエル議長は21日、下院議会・金融サービス委員会の公聴会で証言を行い、経済が現在の方向で推移する場合、FRBはインフレ抑制を目的とした一段の利上げを実施するということが「かなり正確な推測」になると述べました。
ただ、投資家の買い意欲は回復しており、AAII(米個人投資家協会)が毎週公表している「強気比率」(株高を見込んでいる投資家の割合)は42.9%と前週(45.2%)からやや下落したものの、依然として高い水準を保っています。
また、米大手投資銀行が公表している世界ファンドマネジャー調査によると、6月のキャッシュ比率(現金比率)は5月よりやや低下し、慎重姿勢を維持していた機関投資家がリスク選好姿勢を改善させたことも報道されました。