「損小利大」を実現するには?

「損小利大」という言葉をよく耳にするが、「損小利大」は順張り(トレンドフォロー)取引の目的である。しかし、どうやったら利益が大きくなり、損が小さくなるのかが、具体的に説明してあることはほとんどない。

「損小利大」を実現するには、トレンドを具体的かつ的確に認識し、それに乗っていく必要がある。しかし、大きなトレンドはそう頻繁に発生するものではないので、トレードの勝率は低くなる。勝率の低い手法に耐えられる市場参加者は少ないので、「順張り(トレンドフォロー)取引」で相場にエントリーする人は、実は非常に少ないのが実情である。

大相場に乗れない最大の理由はストップロス注文を置かないことによる心理的抵抗

 人間の心理は相場でもうける邪魔をする。「高すぎて買えない」、「安すぎて売れない」という値頃感である。相場のトレンドは、いつも逆張りポイントの先に発生する。つまり、トレンド相場とは、売られすぎ・買われすぎの先に発生するものなのだ。

 売られすぎ・買われすぎの状況から相場に参入するのは心理的抵抗が大きく、なんらかの準備(テクニカル分析)ができていないと、ポジションをとることは極めて困難である。

 もっと大きな視点でみると、相場に乗れない最大の原因はストップロス注文を置いてないからだ。「142円のドル/円を買って130円まで下がったらどうしよう」という不安は筆者ももっている。

 しかし、142円00銭でドル/円を買って141円50銭にストップロス注文を置いておけば、損失は50銭に限定される(※ただし週明け相場の窓開けリスクなど、損失は50銭に限定されない場合があるので注意が必要!)。だから、ストップロス注文さえ置いておけば、ドル/円が100円であろうと、150円であろうと値段はあまり関係ない。

 ストップロス注文を置かない限り、どのような相場局面でも不安は解消されないし、マネーマネジメント(資産管理)は放棄された状態にある。ストップロス注文を置くことは、相場の損失から身を守る唯一の手段である。

 そのことを多くの人が理解するのは、たいていお金がなくなってからである。人間の心理は損失に耐えられるようにはできていない。だから、ストップロス注文を置いてから、相場に挑戦するしかない。自戒を込めて、ことさらに、そう書いておく。

 市場は激しいバブルと崩壊のサイクルを繰り返してきた。

 長期投資はかなりの乱高下に耐えなければならない。

 反対に、トレンドフォロー戦略はドローダウンがむしろ安定しているのである。

 相場で生き残るためには、

(1) ルールを作る
(2) ルールをしっかり守る

ことが重要である。

 投資は規律と忍耐だ。どちらかが欠けていると、投資目標を破壊する可能性がある。毎日のメディア解説には価値がない――テレビの電源を切り、精神的な資本を節約してほしい。投資は確率に基づいた将来の結果についての「推測」である。投資戦略が常に機能するわけではない。秘訣(ひけつ)は、悪い投資戦略と一時的に不利な投資戦略の違いを知ることである。