今日の為替ウォーキング
今日の一言
やる気と我慢強さは、すべてを克服する – ベンジャミン・フランクリン
Bridge Over Troubled Water
今月発表された米国の5月雇用統計では、NFP(非農業部門雇用者数)が大幅に増えた。雇用市場の過熱状態は続き、FRBの利下げ予想は後退するなかで米長期金利が上昇、ドル/円は140円台に上昇した。
一方で、米サービス業の主要景気指標である5月非製造業ISMは予想を下回った。新型コロナ後の景気をリードしてきたサービス業が失速したことで、米経済の先行きに懸念が広がると今度は米長期金利が急低下することになりドル/円は139円台前半まで下落した。
RBA(豪準備銀行)とBoc(カナダ中銀)は、先週の会合で利上げを決定した。どちらの中央銀行も、4月時点では利上げ終了宣言をしたが、その後もインフレ上昇が止まらず、金融引き締めの再開に追い込まれた。FRB(米連邦準備制度理事会)も同じ方向に進むとの見方で再び米長期金利が上昇すると、ドル/円は140円台を回復した。
2023年6月の会合でFOMCは、主要政策金利であるFF(フェデラルファンド)レートの誘導目標を5.00-5.25%で据え置く一方で、2023年末のFF金利の予想中央値は5.125%から5.625%に引き上げられた。FOMC参加者の多くが、年内あと2回の利上げを想定していることになる。
ECB(欧州中央銀行)は、6月の理事会で0.25%の利上げを決定した。これはECBにとって8会合連続の利上げで、デポ金利は3.25%から3.50%に引き上げられ、22年ぶりの高水準となった。ラガルドECB総裁は次回7月も継続する公算が大きいと記者会見で述べている。
世界の中央銀行がインフレ抑圧に全力を尽くしているなかで、日銀の植田総裁は「金融政策でどうこうすることはできない」としてこれまで通り「粘り強く金融緩和を継続していく」方針を示した。金融政策の違いが円安を加速させているのは当然である。