アラビカ種の動向が、コーヒー相場を左右する

 USDA(米農務省)の統計によれば、以下のとおり、世界全体に占めるブラジルのコーヒー豆生産(アラビカ種)シェアは、40%を超える状態が続いています。生産量は世界全体で年々増加する傾向にあるため、ブラジルの生産量も年々増加傾向にあるわけです。

出所:USDA(米農務省)のデータより筆者作成

 降霜や病気に強い品種が開発されているとはいえ、温暖化が進んでいるとされる地球において、想定外の気象変動が起きることも想定しなければなりません。

 コーヒー豆の先物価格の動向をみていく上では、世界No.1のコーヒー豆(アラビカ種)の生産国であるブラジルの気象変動に引き続き注目していく必要があると思います。

コーヒーこぼれ話 生産エリアは「コーヒーベルト」

 世界で栽培されているコーヒーノキは大きく分けて2種類あります。「アラビカ種」と「ロブスタ種」です。ともに原産地はアフリカです。

 アラビカ種は主に亜熱帯性気候の標高1,000メートル程度の地域で栽培されています。デリケートで気温の変化や病気に弱い品種と言われます。今回取り上げた、相場が急騰したのはこのアラビカ種です。

 一方、ロブスタ種は気温の変化や病気に弱いアラビカ種を補う形で生産が拡大した「強い」品種です。

 また、ロブスタ種はアラビカ種に比べて、カフェインが約2倍、水出しの場合多く抽出できる、香りが強いなど、比較的経済性が高く、安価な大量消費に向いていることから、インスタントコーヒーや缶コーヒーに用いられることが多いようです。

 コーヒー豆は、北緯・南緯25度以内の国(気候の区分における「熱帯」とおおむね一致)で生産量が多く、このエリアを指して「コーヒーベルト」と呼ばれています。

 このエリアの気候が乱れると、コーヒー豆の価格変動が起こる可能性があるということになります。

出所:CME(シカゴ・マーカンタイル取引所)のデータをもとに筆者作成
出所:CME(シカゴ・マーカンタイル取引所)のデータをもとに筆者作成