債務上限問題をめぐる茶番と大本営発表

 米国の債務上限問題が片付いて、株式市場が上昇するのだという。見ていないので知らないが、TVでもそういう報道をしているらしい。

米国の連邦債務と2053年までの予測

出所:ゼロヘッジ

 コロナ下の2年間、バイデン政権はMMT政策で小切手をばらまきインフレを招来した。

 そして、軍産複合体(戦争屋)のかいらいであるバイデン政権は、さらにウクライナで代理戦争をしかけて、おまけにドルを武器化し、ロシアの一部銀行をSWIFT(国際銀行間通信協会)の国際決済ネットワークから排除したほか、ロシア中銀が西側中央銀行に預けている外貨準備を凍結した。

 ロシア(世界最大の商品輸出国で核保有国、世界最大の工場所有国で核保有国である中国と結託している)に対して通貨とエネルギーの戦争を仕掛けることが、なぜ悪い考えであったのかがわかるだろう。これは明らかに、イランやベネズエラに制裁のけんかを売るのとは違う。

 壊れるまでは全てが順調だ。米国で次に崩壊するのは労働市場である。60年にわたるデータから、金利の上昇は常に事態を悪化させることが確認されている。しかし、このような金利の上昇を、米国(および世界)の歴史上最大の債務危機という文脈に置き換えると、「破綻」は本当に醜いものになる。

 米国は債務上限を引き上げてデフォルトしないことで、本当の破滅への道へとまた一歩進んだのである。

 そして、このような分裂、内輪もめの中で、金利上昇という現実が歴史的に前例のない債務水準と衝突し、ヘミングウェイが貧困を表現したのと同じように、あらゆる層の米国人を押しつぶすことになる。

「ゆっくりと、そして一気に」

「2年を切った2025年1月までに、負債は31.4兆ドルから36兆ドルへと増加することになる。そのために歳出改革は行わず、形だけの500億ドルの削減を行うのか? 彼らは、未使用のCOVIDの資金を取り戻した。時間の無駄だ」と向こうの掲示板でやゆされているが、多くの市場関係者は無関心だ。

 ジョージ・オーウェルの言うように、「自由は奴隷制、無知は強さ」である時代が到来している。

帝国のビッグサイクル

出所:レイ・ダリオ(リンクトイン)

 無関心の中で全体主義は進んでいく。

「カラスなぜ泣くの?カラスの勝手でしょ?」

 そう、カラスの勝手…。

 世界を見つめてごらん。きっとキミの信じているもの全てが壊れていくときが迫っている。