5月29日に日経225マイクロ先物が登場!税金の扱いは?

 5月29日、大阪証券取引所で新たに「日経225マイクロ先物」が上場し、各証券取引会社でも取引ができるようになりました。

楽天証券HP:楽天証券「日経225マイクロ先物・ミニオプション取扱い開始のお知らせ」
参考記事:日経225マイクロ先物誕生!先物取引の活用法を徹底解説

 今回の記事では、先物取引の税金についてまとめていきたいと思います。まず知っておかなければならないのは、先物取引の税金は、株式の税金とは大きく異なるという点です。

先物取引の税金は「申告分離課税の雑所得」

 上場株式の税金は、配当金であれば「申告しない(源泉徴収のみで完了)」「総合課税の配当所得」「申告分離課税の配当所得」、売却益であれば申告分離課税の譲渡所得(税率は所得税・住民税合わせて20.315%)という扱いです。

 一方、先物取引には配当金がないので、配当所得という概念はありません。売却・決済損益については「申告分離課税の雑所得」という扱いです。

 税率は所得税・住民税合わせて20.315%となっています。

 上場株式の売却益の税率と同じですが、「所得の種類」が異なりますので、両者は完全に区別する必要があります。

先物取引に「特定口座」はない

 また、上場株式や投資信託、債券などは特定口座の制度があり、源泉徴収ありの特定口座での売却益は確定申告しなくて良い、といった特例も設けられていますが、先物取引には特定口座はありません。したがって、自分自身で確定申告する必要があります。

 なお、会社員で給与所得以外の所得が20万円以内の場合は所得税の申告が不要、といういわゆる「20万円ルール」は、先物取引の利益の場合でも適用がされます。

 20万円ルールについて詳しくは、下記の記事をご参考にしてください。
「確定申告」会社員の20万円問題(その1):副業・配当で申告が必要な人
「確定申告」会社員の20万円問題(その2):確定申告をしたら損をする人・得する人

 年間の売買・決済損益につき自分でまとめて確定申告するのが原則ですが、今は多くの証券会社が、年間の取引内容や損益をまとめてくれているので、それを用いれば比較的簡単に申告することができます。

先物取引の損益と上場株式の売却損益は損益通算できない

 上場株式の売却損益は「申告分離課税の譲渡所得」、先物取引の売却・決済損益は「申告分離課税の雑所得」で、両者の所得の種類が異なるということは上でご説明しました。

 投資関係の損益通算は、「同じ所得グループ内でのみ可能」というのが原則です。したがって、所得の種類が異なる先物取引の損益と上場株式の売却損益を損益通算することはできない点に注意が必要です。

 また、先物取引の損益と上場株式の配当金を損益通算することもできません。

 先物取引と同じ所得グループにあるのは、FXやオプション、CFDです。これらの間で利益が生じたものと損失が生じたものがある場合は損益通算ができます。例えば先物取引の利益とFXの損失があれば、両者は損益通算可能です。

 ちなみに、暗号資産(仮想通貨)の損益は「総合課税の雑所得」という扱いで、上場株式とも先物取引とも異なります。よって、暗号資産の損益と先物取引の損益を損益通算することはできないことになっています。

 なお、損益通算しても損失が残った場合、確定申告することで最長3年間繰り越すことができます。この仕組みは上場株式の売却損と同じですね。

 損失を確定申告して翌年以降に繰り越さないと、翌年以降に先物取引で利益が出た場合、余計な税金を支払うことになりかねません。先物取引については利益であっても損失であってもしっかり確定申告をする習慣をつけておきましょう。