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休みたいのなら、なぜ今休まない? - ディオゲネス

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 来月6月の利上げは「五分五分」、経済データの結果で判断すると、FOMC(米連邦公開市場委員会)メンバーは口をそろえている。その重要な材料となる5月雇用統計は、「強い」という予想が出ている。

 米セントルイス連銀によると、 2009年から2020年までの約10年間の、米国における雇用増加の理由の大部分は、55歳以上の就業増で説明できるそうだ。

 2008年にリーマンショックが起き、世界金融危機で老後の生活資金を全て失った当時のシニア層は、生活のために働き続けるしかなかった。ところが2020年になって、新型コロナ感染が世界中に拡大するなかで、米株式市場が史上最高値を更新するまで上昇したおかげで、引退するのに十分な資金を得ることができた。今まで労働力を支えていた層が一斉に労働市場から去ってしまったことが、現在の米国の人手不足問題の原因といわれている。

 新型コロナの後の世界経済を襲ったのが、猛烈なインフレだ。最近の米調査によると、退職した人の4分の1以上が、その判断が正しかったかどうか迷っているという結果がでている。退職資金を得て引退したのは良かったが、インフレのせいで計画よりもはるかに速いスピードで貯蓄が目減りしている。そのため再び働き始める人も増え始めているのだ。

 この傾向はシニア層だけではなく、少し前にブームとなったFIREムーブメント、いわゆる経済的自立と早期退職を目指すライフスタイルに憧れ早期退職した40代のミドルシニア層も含まれる。

 FRB(米連邦準備制度理事会)の急激な利上げに経済がついていけず、米国では銀行が破綻している。株式市場が本格的なダウントレンドに突入することになれば、必要に迫られて労働市場に復帰する人は今後さらに増えることになるだろう。

 一方でFRBにとっては、かなり痛みの伴うプロセスとはいえ、失業率上昇を回避しながらインフレを抑制する目標を達成できる可能性は高くなる。利上げを続けることでインフレは下がるが、失業率はそれほど悪化しない可能性があるのだ。FRBが米景気後退を予測しながらも、失業率に関して楽観的見通しを維持している理由だ。

今週の注目経済指標

出所:楽天証券作成