自分に合う投資スタイルで資産づくりを

武田 いったんNISAは横において、お三方がどんな投資方法で資産づくりをされてきたか聞いてみましょう。まずはテスタさん、いつからどんな風に投資を始めましたか?

テスタ 2005年の終わりからなので19年目になります。最初の10年くらいは毎日取引して小さい利益を積み重ねるデイトレードをやっていて、それが10億円くらいの大きな資産になると回転しづらくなるので、中長期とかスイングトレード(数日から数週間の短期間で完了する取引)とかいろんな投資をやるようになりました。今はデイトレードをやっていないですが、資産は数十億になりました。

武田 現在中長期で持っている投資対象はどう選んでいますか。

テスタ 基本的には自分の資金に合った銘柄選びが大事です。小さ過ぎるとたくさん買えないし、大きくなればなるほど安定するけど(値動きが大きく)動かなくなる。今はデイトレードをやっていないので、決算を見ることが増えましたね。3カ月ごとに企業決算があり株価が動く可能性があるので、決算を予想したり発表された実績をみたりして、買う銘柄を決めています。

武田 中長期と言っても基本的に投資対象は個別の株ということですね。

テスタ そうですね。僕は日本株です。これは生活スタイルによると思うんです。僕は専業でやっているので毎日数字を見れますけど、毎日見れない人は(指数に連動する値動きを目指して運用する)インデックス投資も一つの対象になるでしょうし。

 ただ、株式投資は仮に始めるのが遅くても、他にお仕事があっても、少しずつ学ぶことはできるはずです。インデックス投資に丸投げしてそれだけで終わらせるのではなく、個別株も対象にすると、そこから先視野が広がってチャンスが増えていきます。やっぱり勉強は止めないでほしい。もったいないですから。

武田 ありがとうございます。たぱぞうさんは、どうやって資産を増やしてきましたか?

たぱぞう 年齢や資産額によって投資の形は変わっています。気が付けば、昨年末くらいで株式とハードアセットの割合が半々になりました。

武田 ハードアセットとは?

たぱぞう 太陽光発電や不動産など、保有して運営することで(使用料や賃料などの収入を)増やすものです。私はデイトレの才能が全然なかったんですけど、それでも若い頃は1週間、2~3カ月と値動きのチャートを見たりもしてました。以前は上昇率を追って投資していましたけど、今は上昇額を意識して、よりわずかな労力で確実性を高める、というスタンスです。 

武田 最後に、小林さん。元銀行員ということで金融の知識も一定ある、という状態だったと思うのですが、どのように資産形成を始めましたか。

小林 先ほどのテスタさんのお話は耳が痛かったんですが…自分の経験で言うと、個別株は諦めて、インデックスファンドの積立投資は楽だなと思って始めました。時間を極力かけずにできるものはないかな、と思っていたので。積み立ての設定だけすれば、後は自動でコツコツ買ってくれる。そんなに大きいリターンを狙うことはできないけれど、それでも多くの人にとって一度始めればほったらかしでもそれなりのリターンを期待できる。自分はインデックスファンドで引き続きやってきたいなと思ってます。

武田 本当に皆さん、投資のやり方は全然違いますよね。正解は一つではない、ということだと思います。難易度的に、テスタさんのやり方はなかなかマネができないように思うんですが。 

小林 いろいろお話を聞いた僕の中の結論、自分にはとても難しそうだなと思っちゃいました(笑)

たぱぞう テスタさんはやっぱり、天才ですね。控室でもお話ししたんですが、将棋の羽生名人みたいな極めた世界観があるんですよね。まあ、羽生名人とお話ししたことないんですけどね(笑)なおかつ、テスタさんは投資が広がるといいよね、という発想もお持ちで、すごく視野が広くて人間も大きくて、ファンになりました。

武田 テスタさんはご自身の投資スタイルについて、他の人もできるものだと思いますか。

テスタ 誰でもできると思っています。僕はそんなに、特段何かの能力に長けているわけではないと思ってますし…。株は、ダイエットと一緒でやればやるほど結果がでるものだと思うんですよ。それを中途半端なところでやめてしまったり、楽して稼ぐ方法はないかな、という入口で始めてる人が多いと思うんです。僕もそうでしたけどね。ただ、たくさん稼ぐとかちゃんと勝つためには、やはりこの世界でも努力しないといけない。僕は最低限やってきたと思う。やれば結果はでます。

武田 逆に、小林さんの方法は王道とも言われるインデックスの積立投資。そこに米国株を加えたのがたぱぞうさんの手法と理解しています。お二人の投資手法をどう思われますか。

テスタ 素晴らしいと思います。みなさん性格も違うし資金の用途も年齢も生活環境も違うわけですよね。どれが誰にあってるのかは、外野からはわからない。本人が試してみてこれが向いてるな、と思うものを突き詰めた結果成功されているので、それは正解だと思う。

 一番駄目なのは、何も考えずに現金をただ銀行に預けている、というもの。物価は上がっていくし預金金利はつかないので、その状態を脱却するのが第一です。少額で試してみたり、勉強だけだったら1円もかからずできるわけですし、その中から自分の得意なモノだけを残していくのが大事だと思います。