知っておきたい、投資の注意点

武田 ここまで、NISAのメリットや投資のいい話ばかりをしてきたので、投資で注意するべきことも教えていただきたいと思います。

たぱぞう 自分は当然だと思ってたんですが、ブログやTwitterを通じて知ったこととして、元本が割れることについて不愉快に思われる人が多い、というのがあります。でも、投資商品は上にも下にも行くリスクがあるんですよね。だから基本的には老後・教育・住居の三大支出に備えて資産形成するのが一般的なやり方です。あまり投資に対してのエクスポージャー(特定のリスクにさらされている資産の割合)を自分の許容よりも大きくしてしまうと、しんどくなってしまう人が多いのかなと、コロナ・ショックをみて思いましたね。

小林 投資に見えたけど、中身は全然投資じゃなかったという、詐欺にも気を付けてほしいですね。その結果、やっぱり投資はやらなきゃよかった、と思われるのは寂しいと感じます。

武田 テスタさんは投資詐欺への警鐘をかなりしっかりやられている印象があります。どう気を付ければよいでしょうか。

テスタ 今は金融教育があるけど、今の大学生より上の世代は自分から習いに行かない限り誰からも習わないことですよね。詐欺もアップデートされるので、常に最新知識をいれて防御態勢をとっておくことは大事です。

 詐欺から身を守るためには、たとえ信頼していても人にお金を預けないことです。信用していると思っているその人本人も、無自覚で誰かにだまされているパターンだってあります。増やすことを考えがちですが、減らさないことは増やすことと同じです。

小林 投資で得られるのはお金だけじゃなくて、そこでいろんな学びがありますよね。インデックスファンドの利回りが年4~5%という目線を持っておけば、毎月数10%をうたう金融商品がおかしいことにも気付きますし、それがなんでだろうと考える。投資を始めることは、自分の中で気付きを得るきっかけになるんじゃないかと思います。

つみたて枠、成長投資枠、どう使う?

武田 新NISAをどう使えばいいのか、という話を具体的に聞いてみます。小林さん、つみたて枠、成長投資枠をどんな商品でどれくらいの金額で使う、というプランを教えてください。

小林 入口は今までのつみたてNISAのイメージで、インデックスファンドで積立投資、というのがシンプルに分かりやすくていいんじゃないかと思います。今のつみたてNISAで選べるインデックスファンドは、新NISAのつみたて枠でも成長投資枠でもどちらでも選べる、ということに今のところはなりそうです。あまりいろいろ考えずに、まずやってみるなら全世界株式のインデックスファンドを一つ買ってみる。月3,000円でも1万円でも、余裕資金の範囲でOKなので、まずは始めてみましょう。その上で、個別株やETF(上場投資信託)など別の商品に興味を持つのか、成長投資枠の方でスポット投資するのか、アレンジしていけばいいと思います。

武田 全世界株式のインデックスファンド、年利でいうとどれくらいの期待リターンでしょうか。

小林 大体4~5%くらいが現実的なところです。

武田 たぱぞうさんは、いかがですか。

たぱぞう 自分自身が投資を始めたときにインデックス投資をして今の資産を築けたかというと築けないんですよね。ここは、永遠の課題です。今新しいNISAが立ち上がり、低信託報酬の良い商品がある。それが答えになりがちですが、じゃあそれだけで自分もFIREして独立できていたのかというとまずできていない。何か自分を変えたい、自分の人生を変えたい、フェーズを変えたいというのであれば、やっぱり勉強をし続けて、プラスアルファの何かを求めるのも同時に大事というのを、申し添えておきたいですね。

武田 たぱぞうさんは、今までの投資をならすと年利どのくらいで増やしたんでしょうか。

たぱぞう はっきりとはわからないです。ただ、確実に言えるのは、私の前の仕事で純粋に所得を貯蓄し続けたとしたら、今と同じ資産を積み上げるのに100年以上かかるんですよ。それを考えると、やっぱり投資って素晴らしいと思いますね。フェーズを変えるには、ある程度エッジを利かした投資が必要なのも事実。奥深いと思います。

武田 テスタさんは、何%増やしたいのか、額で考えるのか、どちらですか。

テスタ 元々投資を始めたときは、株式投資で生活できるようになったらこんな良いことないな、と思って始めました。そこから年間のマイナスが今のところはなく、毎年プラスを積み重ねて9,000万円になったときに初めて1億円を目指しました。そこから、2億、3憶と少しずつ目標を上げています。誰かと比べることはなく、自分自身の過去の年間最高を更新したいという思いです。

投資の楽しみ、ありますか?

テスタ 投資は楽しむことが結構大事だと思うんです。固く難しいイメージが先行するけど、根本にそれを楽しいと思えるか。楽しいから勉強できるし、続けられる。今は本やTwitter、YouTubeなど勉強の方法がたくさんあるので、これだったら続けられるなと思う方法を見つけて楽しみながらやってほしいです。

武田 インデックス投資は、比較的義務的ですよね。その中に楽しみを見つけるのは難しくないですか。

小林 無茶苦茶難しいです。インデックスは基本的に配当も受け取らないし、とにかく毎年お金を出し続けて長期での値上がり益を期待する、苦行とも感じられるものです。僕は米国株で高配当ETFを買ったりもしてるんですが、定期的に分配金をもらって日々の楽しいことに使い、インデックスと両方やるのも個人的にはありなんじゃないかと思います。新NISAではつみたて枠と成長投資枠が併用できるので、どちらも非課税で楽しめる。投資を続けるモチベーションになりますよね。 

たぱぞう 私の場合は、元々決算を見たりお金のことを計算するのが好きだったんです。結果、大学の友達がクルマを買う中で、自分は株を買いました。好きの対象は人それぞれですけど、お金、計算が好きというのが人生を変えるんだなと思いますね。

武田 テスタさんは、稼いだお金を使うことの楽しみもありますか。

テスタ 使う方です。僕、節約は有限だから、するべきではないと思うんですよ。例えば、生活費が月20万円だったらどんなに頑張って節約しても上限は20万円。一方で、利益を増やす方は無限に可能性がある。だから、同じ時間と頭を使うなら節約ではなく増やすことに力を使うべきと思っています。

武田 新NISAのスタートで、資産づくりや投資が一気に普及するタイミングです。今まで投資したことがないという人もたくさんいると思います。メッセージをお願いします。

小林 制度として素晴らしいものになると思うので、少しでも興味がある人は少額でも試してみてほしいです。いろいろ分からないことがでてきたら自分で興味をもって調べて、知識をつけていって、投資を楽しいものにしてもらえたらうれしいと思います。

たぱぞう 投資というのは、自分も家族も周りの人たちも豊かになれる素晴らしいものだと思います。NISAというきっかけがあるので、まだやったことのない人は取り組んでみてもらえたらうれしいです。

テスタ 投資は、難しいようで大きな可能性もあります。今は銀行に預けても金利が低いので、これを政府からのメッセージと思って、チャンスに変えてほしい。リスクを極力とらずに勉強できることはたくさんあります。まずはお金を守ることから勉強し、少しずつお金を入れて、慣れていくこと。楽しみながら資産を増やしてほしいです。

武田 投資のやり方はいろいろありますが、無理をし過ぎないことと、詐欺にだまされないこと、自分の身を守ることが大事だと改めて思いました。その上で、NISAを賢く使って、資産づくりに活用いただけたらと思います。今日は本当にありがとうございました。