今日の為替ウォーキング

今日の一言

真に恐れるべきは有能な敵ではなく無能な味方である

Iris

 5月10日に発表された米国の4月CPIは、前年同月比で4.9%上昇し、市場予想(5.0%)を下回った。インフレ圧力がやや緩和したことを示し、FRB(米連邦準備制度理事会)が利上げを休止する可能性が高まったとの見方が広がった。中古車価格の上昇が続き、これがCPIの下落を食い止めているのだが、世界最大の中古車再販業者であるマンハイム社のデータによると中古車価格はすでに下落に転じており、これは数ヵ月後のCPIに反映されるとのことだ。

 一方、日本ではインフレが止まらない。2022年は25,000品目もの値上げがあったが、2023年は前年を上回るペースで値上げが続いている。主要食品メーカーが4月までに値上げを決めた食品は2万品目を超えた。このペースが止まらなければ、秋にも3万品目を超える可能性がある。

 企業は、原材料価格や物流費の高騰、円安で値上げは仕方ないと消費者を言いくるめている。実際はどうか。原油価格はウクライナ戦争前の水準までさがっている。EU(欧州連合)は4月、割安な価格のウクライナ産穀物が、EU農家に痛手を与えているとして、ウクライナ小麦や大麦の流入制限に踏み切った。

 植田和銀総裁は、4月の日銀会合後の記者会見で、インフレ見通しについて以下のように述べた。「金融政策の引き締めが遅れて2%を超えるインフレ率が持続するリスクより、拙速な引き締めで2%の物価安定目標を実現できなくなるリスクの方が大きいと考えている。」

 思い出してほしい。パウエルFRB議長も2年前の2021年6月の議会証言で、「インフレ要因は時間とともに後退するだろう」、「FRBは予防的に利上げすることはない」と述べていた。その結果、今どうなっているか?銀行が倒産して景気後退が囁かれる状況でもなお、中央銀行は利上げを止められないでいるのだ。

今週の注目経済指標

出所:楽天証券作成