今日の為替ウォーキング

今日の一言

ローマ教皇の素晴らしい帽子は神からではなく、神学上の恐喝を受けて金品を払っている男女から授与されたものだ

When I See You Smile

インフレ3つの波

 新型コロナ以降、先進国に起きたインフレには3つの波がある。

 第一の波は、耐久消費材インフレだ。新型コロナ感染流行による外出自粛や在宅勤務の普及が家具や家電などの耐久消費財の特需を生んだ。しかし耐久財インフレは一過性で終わることになる。洗濯機や冷蔵庫などは、モデルチェンジのたびに買い替えたりしないからだ。日本でも大手家電量販店の売り上げは苦戦している。

 次にやってきた波は、移動制限緩和によって爆発的に起きたリベンジ消費と、サプライチェーン目詰まりによる品不足インフレだ。

 そして現在起きている第三の波が、利益主導型のインフレである。原料費上昇などを言い訳にしてそれ以上の値上げを行う、いわゆる「便乗値上げ」のインフレだ。

 便乗値上げは、第二の波のように需給の不均衡によって発生するのではない。食品会社など一部の企業が、利益率拡大の隠れ蓑として、「値上げはやむを得ない」という物語を消費者に信じ込ませることで引き起こすのだ。原材料や輸入価格の高騰で消費者に物価上昇が今後も続くという焦りを抱かせて需要価格弾力性を低下させる。消費者にインフレ期待を形成することで値上げをしやすくするのだ。

 インフレ抑制のために先進国の中央銀行は金融政策を引き締めている。FRBはわずか1年間で4.00%以上も利上げした。(緩和政策を継続してインフレを促進する日銀は世界の中央銀行のなかでも異例だ。)

 利上げは景気を冷やし、最終的には利益率主導のインフレを抑制することになるだろう。しかしそこに至るまでの副作用も大きい。利上げという手段を使うよりも、値上げを受動的に受け入れないように消費者を説得する方が害も少ないだけでなく、より効果的かもしれない。便乗値上げに対抗するためにソーシャルメディアが果たすべき役割は大きい。

今週の注目経済指標

出所:楽天証券作成