「高インフレ」「銀行不安」は危機鎮静化で終息

 筆者は、「高インフレ」と「銀行不安」の根本原因は同じだと考えています。「ウクライナ危機」です。「ウクライナ危機が起きていなかった場合、高インフレも銀行不安も起きていなかった?」という問いがあるとすると、筆者はYesと答えます。

図:「高インフレ」「銀行の連鎖不安」の根本原因

出所:筆者作成

 2010年ごろから危機勃発前まで、西側が強力に推進してきた「環境問題」と「人権問題」が、「溝」を作ったと考えています。西側が環境問題を改善しようとすればするほど、産油国(多くが非西側)の思惑が内向きになり、西側が人権問題を改善しようとすればするほど、独裁国家(多くが非西側)の西側に対する反発心が強くなったためです。

 こうした西側と非西側のあつれきが「分断の芽」であり、「ウクライナ危機勃発の遠因」だったと、筆者はみています。ウクライナ危機が終わらなければ、原油高がもたらす「高インフレ」も、「銀行不安」も、終わらない可能性があります。

 ウクライナ危機を鎮静化させることなど、容易ではないでしょう。危機は続く。危機起因の金(ゴールド)相場の高止まりも続く。筆者はそう考えています。