原油急騰も追い風 高インフレ継続を印象付ける
足元、反発色を強めている原油相場に目を向けます。原油相場の動向も、金(ゴールド)相場の動向に影響を与えます。
図:WTI原油先物(期近 日足 終値) 単位:ドル/バレル
原油相場は4月に入り、OPECプラス(OPEC(石油輸出国機構)13カ国と、OPECに加盟していない10カ国、合計23カ国で構成される産油国のグループ)が、「追加減産」をアナウンスしたことで急反発し、80ドルを回復しました。(レポート後半で追加減産の詳細を述べます)
以下は、原油相場の動向が与える金(ゴールド)相場への影響です。原油相場の動向は、金(ゴールド)相場に、上昇・下落、両方の圧力をかけ得る存在ですが、特に市場の関心が「高インフレ」、FRB(米連邦準備制度理事会)などの主要な「中央銀行の政策」に集まっているときほど、上下両方の圧力が(同時に)かかりやすくなると考えられます。
図:原油相場を起点に考える最近の金(ゴールド)相場への影響
足元の原油相場の急反発は、「高インフレ」という印象を与えます。この印象によって生じる、「インフレ→相対的な通貨安」という連想は「代替通貨」起因の、「肌感覚の不安」は「有事ムード」起因の、金(ゴールド)相場への上昇圧力を生んでいると考えられます。
また、原油価格の反発は、西側の要求をはねのけ、非西側に属する産油国が価格つり上げを企図した動きを強めていることを示唆します。こうした動きの背景には、「非西側の西側への反発心増幅」、「西側と非西側の分断深化」があると考えられます。
こうした背景は、非西側の中央銀行の金(ゴールド)保有量を増やす理由になり得ます。西側の資産を持たないようにするための策として(不安定な自国通貨も持ちにくいことも相まって)、金(ゴールド)を持つわけです。ここに「中央銀行」起因の上昇圧力が生まれます。
一方、下落圧力も発生し得ます。原油相場の急反発は、「需要増加」という印象を与えます。「需要増加」という印象が「景気回復期待」や株高を誘引し、「代替資産」起因の、金(ゴールド)相場への下落圧力を生んでいると考えられます。
また、「肌感覚の不安」減退は「有事ムード」起因の、「利上げ継続観測」は「代替通貨」起因の、下落圧力を生んでいると考えられます。
足元、金(ゴールド)相場へ、原油相場起因の上下両方の圧力がかかっていると考えられますが、金(ゴールド)相場が上昇していることを考えても、原油相場起因の金(ゴールド)相場への圧力は、「上昇圧力が勝っている」と言えるでしょう。