実は少量の減産しかしない!?OPECプラスの思惑

 以下は、OPECプラスにおいて減産に参加している20カ国(サウジ、ロシア、イラク、カザフスタンなど。イラン、リビア、ベネズエラは減産不参加)の原油生産量の推移です。減産実施時の「基準量」「生産量の上限」を追記しています。

図:OPECプラス減産参加国(20カ国)の原油生産量など(筆者推定含) 単位:百万バレル/日量

出所:ブルームバーグのデータおよびOPECの資料より筆者推計

 大々的に「OPECプラス追加減産」と報じられたのは、4月3日でした。その報道を受けて原油相場はアジア時間から急反発しました。(前週末比、およそ5ドル高で取引がはじまった)

 ウクライナ危機下、需給バランスが引き締まりやすいため、追加減産によって「世界のエネルギー事情がこれまで以上に危ぶまれる」という趣旨の報道が目立ちました。しかし、上図からは、OPECプラス(減産参加20カ国)の原油生産量は、さほど、減少しないように見えます。

 筆者の推計では、追加減産決定によって引き下がった生産量の上限は、4月の原油生産量の推定値と大きく変わりません。現在のままでも「ほぼ減産順守」である可能性があります。「追加減産」のアナウンスで原油価格を急反発させることに成功し、それでいて原油生産量をさほど減らさない…。

 OPECプラスは、「巧みな(?)」アナウンス効果と、わかりにくい(意図的であると思われる)減産の仕組みを利用して、価格上昇・生産量維持、という大きなメリットを享受している可能性があります。