米金融不安、利上げ不安やや低下、日米とも株価上昇

 先週(3月27~31日)の日経平均株価は、前週末終値(2万7,385円)から1週間で656円上昇して2万8,041円となりました。米金融不安、米利上げ継続の不安がやや低下したことを受けて、米国株が上昇した流れから、日本株にも外国人と見られる買いが増えました。

 3月の米国株は、金融不安・利上げ不安に振り回されて、3月前半に下落、後半に上昇しました。

3月6~31日の日米株価指数の動き:米利上げ不安・金融不安が影響

出所:楽天証券経済研究所が作成

【1】3月第2週(6~10日)

 米シリコンバレー銀行の株価が急落、3月10日に破綻。続けて3月12日にシグネチャー銀行が破綻。これをきっかけに、欧米に金融不安が広がり、世界的に金融株が売り込まれました。

 また、パウエルFRB(米連邦準備制度理事会)議長が7日の議会証言で、「必要ならば利上げ幅を再び拡大することもあり得る」と発言したため、利上げ加速の不安も高まりました。

【2】3月第3週(13~17日)

 欧米の金融不安はさらに深刻になりました。欧州では、かねてより経営不安がうわさされていたクレディスイス(CS)の株価が急落、預金流出の危機が高まりました。

 米国では、地方銀行全般に信用不安が広がりました。世界中で、金融株の下落が加速しました。

 一方、金融不安が高まったことにより、FRBが利上げに慎重になるとの見方が広がり、米国で2年金利が急低下しました。その恩恵で、米国株が反発しました。

【3】3月第4週(20~24日)

 欧米の金融当局が、金融不安を抑えるために「なんでもあり」の対策を発動した効果で、金融不安は低下すると、一部に楽観的な見通しが出ました。

 一方、3月22日、FRBは0.25%の利上げを実施し、さらに年内あと1回の利上げを示唆したため、早期利上げ停止の期待は低下しました。

【4】3月第5週(27~31日)

 銀行不安・利上げ不安がやや低下したことをうけて、米国株は続伸しました。米国政府・中央銀行による対策で、米銀行不安はやや低下しました。

 また、3月31日発表の、2月の米個人消費支出(PCE)物価指数(コア指数)の伸びが4.6%と、市場予想(4.7%)を下回ったことから、米インフレ低下が順調に進んでいるとの見方が出て、米利上げがさらに続く不安がやや低下しました。

日経平均とナスダック総合指数の動き比較:2021年末~2023年3月末

出所:2021年末の値を100として指数化、QUICKより楽天証券経済研究所が作成

 昨年(2022年)10月以降、米国株だけでなく、中国株や欧州株の上昇も続いています。リセッション(景気後退)の不安が高まっていた中国・欧州景気に回復の兆しが強まっていることが背景です。以下のチャートをご覧ください。

独DAX指数・上海総合指数・ナスダック指数の動き比較:2021年末~2023年3月末

出所:2021年末の値を100として指数化、QUICKより楽天証券経済研究所が作成