※この記事は2022年6月1日に掲載されたものです。

 2022年より、成人年齢がこれまでの20歳から18歳に引き下げとなりました。たった2歳、されど2歳。18歳から「成人」として扱われることに対し、すでに成人している大人たちや、18歳前後の子どもを持つ親世代はどう感じているのでしょうか?

 楽天インサイトの「成年に関する調査」から読み取れる、大人の意見、戸惑いなどをクローズアップしてみました。あなたは18歳成人に、賛成? 反対?

楽天インサイト調査「成年に関する調査」調査概要
調査エリア  :全国
調査対象者  :20~69歳 男女
回収サンプルサイズ:1,000サンプルサイズ
調査期間   :2022年2月8日(火)から2月9日(水)
調査実施機関 :楽天インサイト株式会社
(注)本レポートでは小数点第2位以下を四捨五入しているため、合計値は必ずしも100%とならない場合があります。

「18歳になれば親の同意がなくてもできるようになること」として提示した11項目のうち、平均認知数は3項目。認知度が最も高いのは「クレジットカードの契約」(52.8%)でした。一方で「あてはまるものはない」と回答した人も24.9%とやや高め。当事者でなくとも、周辺の人間が、18歳でできること、できないことを、しっかり理解することが必要かもしれません。

 19歳以下の子どもがいる親に、自身の子どもが18歳で成年を迎えることについてどう思うかを聞いたところ、半数を超える54.9%が「早い」(早すぎる・やや早すぎるの合計)と回答。毎日接している親から見ると「この子が本当に成人?」と不安に思うのも不思議ではありません。

 しかし、昔は12~16歳で元服を迎えており、成人=20歳と決められたのは明治29年4月27日からと、案外最近のこと。親からは頼りなく見える子どもたちも、外では案外シャンとしているのかもしれません。

    

*いずれも上位3位以内の回答を集計

 成人年齢の引き下げ後、さまざまな項目について実際に「いつから親の同意を不要にしてもいいと思うか」を聞いたところ、「クレジットカードの契約」、「携帯電話の契約」、「消費者金融の利用」など、金銭にまつわる項目ではほとんどが「自分で働くようになったら」が1位に。

 一方で「結婚」や「10年用パスポートの作成」、「性別の変更申請」、「民事裁判を起こす」といった項目では「18歳(成年)になったら」が1位となりました。

 19歳以下の子どもがいる親への、「自分の子どもが成年になるとき、不安なのは?」という質問では、「知識がないことで消費者被害などにあってしまうのではないか」(51.1%)や「知識がないことで高額な買い物を相談なくしてしまうのではないか」(40.5%)と「*未成年者取消権がなくなる」という点を重視している親が多いことが分かりました。

*未成年者が法定代理人の同意を得ずに結んだ契約は、取り消すことができるという民法

 同じく、19歳以下の子どもがいる親への、「自分の子どもが成年になるとき、期待するのは?」という質問には、「成年として自分の行動に責任をもってほしい」が73.9%でトップ。

 次いで「自分の将来設計を立てられるようになってほしい」(60.2%)、「自分でお金の管理を出来るようになってほしい」(56.3%)と、上記の「不安に思うこと」の合わせ鏡のような結果になりました。自分たち世代より一足早く成人となる若者に、「経済面」「行動面」での判断力や責任感が芽生えることを期待していることが分かります。

日本人はお金に過保護すぎ? 

 上記のデータなどから類推すると、大人たちはとにかく、18歳成人の金銭感覚や判断力について不安を抱いていることがよく分かります。ただし、これについては、お金の使い方や節度について子どもにきちんと教える機会が少ないことや、子供が幼いうちは、まだ話し合う機会を持っていないことも理由の1つかもしれません。

 楽天インサイトの同調査内では「成年年齢引き下げについて子どもと話したことがあるか」という調査も行っていますが、全体では37.3%と低めなのに対し、高校1年生以上の子どもを持つ親の7割弱が、成年年齢引き下げについて子どもと話したことがあると回答しており、成年が近づくにつれて親子ともに当事者意識が目覚め、相互理解を深めようとする姿勢がうかがえます。

 海外では、大人が子供に「お金」を渡すのはお手伝いなどの代償がほとんどで、それ以外は、クリスマスや誕生日などのイベント日に「プレゼント」として物品支給されるのが主なのだそう。何もしなくても「おこづかい」という形で「お金」を手にできるのは、日本ならではのお金事情のようです。

 大人たちだって、子供時代、おこづかいをもらったとたんに駄菓子屋で散財し、月の残りをわびしく過ごした経験があるはず。つまり、日本人は「お金を無計画に使うとどうなるのか」を、幼いころからよく知っているということになります。

 小学生でも、200円や300円と決められた予算の中で、遠足のおやつを最適編成する経験を積み、中高生ともなれば、ゲームソフトやライブ代など比較的高額な支出に備え、目標期限までにおこづかいをコツコツ貯めるなど、中長期の資産管理を実践しています。そう。日本の子どもたちは、親が思うよりも、マネープランニングの経験がとても豊富なのです。

 2022年以降、高校での金融教育が本格的に開始されますが、これまで子供たちが自然と身につけてきたお金との付き合い方を包括的に学び、より正しい金銭感覚を身につけたり、資産管理に関する考えを見直したりする、よい機会になるはず。18歳成年を不安がるだけでなく、投資教育を機会に、親子でお金について話し合う時間を持ってみてはいかがでしょうか。

 楽天インサイトのアンケートでは、これ以外にも、「成年年齢の引き下げを知っている?」「引き続き20歳にならないとできないことは何か?」「自分が成年(成人)になったなと感じた瞬間」など、20~69歳の大人が18歳成年に関してどう思っているのかが浮き彫りになる調査結果が多数。詳しくはこちらから>>