今週の指標:NYダウ(ダウ工業株30種平均)

 今週は、シリコンバレーバンク経営破綻により、金融システム全体のみならず、ハイテクやバイオなどへの波及リスクが警戒され、売りが優勢となりそうです。NYダウも重要な節目である200日移動平均線を下回り、下落基調が続きやすい状況です。

 パウエル議長は議会証言で、3月FOMCで再び利上げペースを加速させる可能性も除外せず、雇用統計やCPIなどの指標次第で政策を決定する方針を再び表明しています。FRBは歴史的にも例を見ない急速な利上げを実施しており、その影響は未知数です。

 今年に入り消費も底堅くハードランディングが回避できるとの期待も強まっていますが、ここにきて急激な利上げの影響が中小規模の金融機関に表れ始めています。

 経済指標では、2月CPI(消費者物価指数)、2月PPI(卸売物価指数)、2月小売売上高、2月輸入物価指数、2月住宅着工件数、3月フィラデルフィア連銀景況指数、3月ミシガン大消費者信頼感指数などが予定されています。結果次第ではさらに下値を試す可能性もあります。

先週の動き

 3月6日(月)は、10年債利回りの上昇で上値が重いながらも、+40ドルの3万3,431ドルと4日続伸。7日(火)はパウエル議長が次回のFOMCで0.5%の大幅利上げを示唆したことが嫌気され、▲574ドルの3万2,856ドルと大幅反落。

 8日(水)も金利先高感が重しとなり▲58ドルの3万2,798ドル。

 9日(木)は雇用統計を控え警戒感からドルが下落し、利回り低下でNYダウは▲543ドルの3万2,254ドルと大幅に3日続落。週末10日(金)は、2月雇用統計は強弱入り交じっていたものの、地銀のシリコンバレーバンクの経営破綻が伝わると、NYダウはリスク回避から▲345ドルの3万1,909ドルと4日続落となりました。

今週の指標:ドル/円

 今週は、先週のシリコンバレーバンク経営破綻から、米長期金利は低下し、リスク回避のドル売りが活発化しましたが、これによってFOMCでの大幅利上げの思惑は大きく後退し、0.5%の利上げ観測が一時広がっていましたが、シリコンバレーバンクの破綻を受けて0.25%の利上げにとどまる可能性が高まっています。

 また利上げ要因となる経済指標の発表としては、2月CPIコア指数が重要視されていますが、予想としては1月実績を下回る見通し。最近の物価関連統計は予想を上回るケースが目立っていますので、CPIコアが市場予想を上回った場合、インフレ抑制期待は後退し、ドル買い要因となります。予想レンジは134.50~136.50円を想定。

先週の動き

 週始めは、1ドル=135円台で始まり、金利先高感からドルが買われ、8日(水)には137円台に上昇しました。しかし、9日(木)には、金融株の大幅安を受け、ドルが136円台前半まで売られ、さらに週末の10日(金)は、地銀のシリコンバレーバンクの経営破綻でリスク回避のドル売りとなり、134.14円まで売られ引け値は135.01円でした。