今週の予想

今週は下値確認のあと2万8,000円水準のもみあい

 先週は、週始めに2万8,000円台を回復し、7日(火)に米国でパウエル議長の議会証言を受けて、米国株式は大幅下落となったものの、日本株にとってはドル買い・円売りとなったことで、逆行高となりました。9日(木)には、+290円の2万8,734円まで上昇し、+178円の2万8,623円の終値で、5日続伸となりました。

 SQ前日で需給に絡んだ先物主導の上昇でした。その結果、週末10日(金)は、前日の米国株式の大幅安を受け、▲479円の2万8,143円と大幅安で引けました。さらに引け後の米国株式の続落を受け、シカゴ日経先物は▲335円の2万7,525円となっています。

 今週は、シカゴ日経先物にサヤ寄せする形のスタートとなり、米国市場をみながら下値確認の動きとなりそうです。

 今回のFOMC(米連邦公開市場委員会)での0.5%の利上げ観測は、2月雇用統計を受け、NY為替市場では、ドルが大幅下落したことで後退しています。賃金の伸びが鈍化したことで、インフレ圧力が緩和し、FRB(米連邦準備制度理事会)による利上げのペースが穏やかになるとの見方が広がっているということです。

 25日のダウ工業株30種平均は日足チャートにて3万3,500ドル台でデッドクロス。75日移動平均線をぬけずに大きく反落しており要注意の動きです。日経平均株価もそれに連動して下げてきていますので、当面はNYダウ、為替の動きをみながらの動きとなります。

 先週は、短期的に先物主導で上昇しただけに需給の歪みがあり、高値をぬくには、しばらく時間を要します。2万7,500~2万8,500円のレンジの中で2万8,000円水準でのもみあいが想定されます。

今週の指標:日経平均株価

 前週末の米国株式が地方銀行の破綻を受けて、大幅続落となり、為替はドル売り・円買いとなって、シカゴの日経先物は▲335円の2万7,525円となっています。日経平均はシカゴ日経先物にサヤ寄せ後、下値確認の動きとなります。

 先週は短期的に急上昇しただけに戻り売りが上値を抑えることになります。米国株式と為替の動きをみながらの動きとなりそうです。2万7,500~2万8,500円のレンジの中で、2万8,000円水準でのもみあいが想定されます。

先週の動き

 先週は、重要イベントを控え、2万7,500~2万8,500円のレンジの中で、上限は2万8,500円水準で止まり、もみあいとなることを想定。

 しかし、パウエル議長の大幅利上げの発言を受けて、ドルが買われ円が売られて、日経平均は円安とメジャーSQに絡んだ先物買いにサポートされて、需給要因で上昇を続け5日続伸となって、SQ前の9日(木)は2万8,734円まで上昇し、+178円の2万8,623円となりました。

 週末の10日(金)は、前日の米国市場で金融株が大幅安となったことで、翌日の2月雇用統計の発表前に警戒感が広がり、NYダウは▲543ドルの3万2,254ドルと大幅な3日続落となりました。

 これを受けて週末の日経平均は、連騰の反動で利益確定売りがキッカケとなり、後場には時間外のNYダウ先物が下落し、アジア株も重しとなり、先物にも断続的な売りが出て、大引け近くには▲504円の2万8,118円まで下げ、終値では▲479円の2万8,143円となりました。

今週の指標:NYダウ(ダウ工業株30種平均)

 今週は、シリコンバレーバンク経営破綻により、金融システム全体のみならず、ハイテクやバイオなどへの波及リスクが警戒され、売りが優勢となりそうです。NYダウも重要な節目である200日移動平均線を下回り、下落基調が続きやすい状況です。

 パウエル議長は議会証言で、3月FOMCで再び利上げペースを加速させる可能性も除外せず、雇用統計やCPIなどの指標次第で政策を決定する方針を再び表明しています。FRBは歴史的にも例を見ない急速な利上げを実施しており、その影響は未知数です。

 今年に入り消費も底堅くハードランディングが回避できるとの期待も強まっていますが、ここにきて急激な利上げの影響が中小規模の金融機関に表れ始めています。

 経済指標では、2月CPI(消費者物価指数)、2月PPI(卸売物価指数)、2月小売売上高、2月輸入物価指数、2月住宅着工件数、3月フィラデルフィア連銀景況指数、3月ミシガン大消費者信頼感指数などが予定されています。結果次第ではさらに下値を試す可能性もあります。

先週の動き

 3月6日(月)は、10年債利回りの上昇で上値が重いながらも、+40ドルの3万3,431ドルと4日続伸。7日(火)はパウエル議長が次回のFOMCで0.5%の大幅利上げを示唆したことが嫌気され、▲574ドルの3万2,856ドルと大幅反落。

 8日(水)も金利先高感が重しとなり▲58ドルの3万2,798ドル。

 9日(木)は雇用統計を控え警戒感からドルが下落し、利回り低下でNYダウは▲543ドルの3万2,254ドルと大幅に3日続落。週末10日(金)は、2月雇用統計は強弱入り交じっていたものの、地銀のシリコンバレーバンクの経営破綻が伝わると、NYダウはリスク回避から▲345ドルの3万1,909ドルと4日続落となりました。

今週の指標:ドル/円

 今週は、先週のシリコンバレーバンク経営破綻から、米長期金利は低下し、リスク回避のドル売りが活発化しましたが、これによってFOMCでの大幅利上げの思惑は大きく後退し、0.5%の利上げ観測が一時広がっていましたが、シリコンバレーバンクの破綻を受けて0.25%の利上げにとどまる可能性が高まっています。

 また利上げ要因となる経済指標の発表としては、2月CPIコア指数が重要視されていますが、予想としては1月実績を下回る見通し。最近の物価関連統計は予想を上回るケースが目立っていますので、CPIコアが市場予想を上回った場合、インフレ抑制期待は後退し、ドル買い要因となります。予想レンジは134.50~136.50円を想定。

先週の動き

 週始めは、1ドル=135円台で始まり、金利先高感からドルが買われ、8日(水)には137円台に上昇しました。しかし、9日(木)には、金融株の大幅安を受け、ドルが136円台前半まで売られ、さらに週末の10日(金)は、地銀のシリコンバレーバンクの経営破綻でリスク回避のドル売りとなり、134.14円まで売られ引け値は135.01円でした。

先週の結果

先週は、米国の大幅利上げ継続で、ドル買い・円売りで先物を交えて日経平均は予想外の上昇

 先週は、重要イベントを多く控え、戻りを試したあとは手控えムードになると予想をしていました。

 当面は2万7,500~2万8,500円のレンジの中で、2万8,000円水準で戻り売りとなる可能性でした。ところが7日(火)のパウエル議長の議会証言で経済指標が予想を上回るものが多く、インフレ圧力は強いとして、次回のFOMCで0.5%の大幅利上げを示唆しました。 

 NYダウは大きく下落したものの、日経平均は円安にサポートされて半導体関連株が上昇、さらに週末のメジャーSQに向けて先物買いが入り、円安と先物によって相場の上昇が続き、メジャーSQ前の9日(木)は、需給主導で2万8,500円を突破し、前場、早い段階で+290円の2万8,734円まで上昇し、終値は+178円の2万8,623円となりました。

 この日の上昇は、翌日10日の3月限先物オプションSQ算出を控えた先物絡みの買いに支えられた需給主導の上昇の見方が強く、SQ算出以降、注意が必要となりそうです。

 週末10日(金)は、前日の米国市場で金融株の大幅安を受けて、NYダウが▲543ドルの3万2,254ドルと大幅に3日続落したことで、日経平均は前場、3月SQ値は2万8,337円となり、一時▲376円の2万8,246円まで下げて、前引けは▲351円の2万8,271円でした。

 後場には、時間外のNYダウ先物が下落し、アジア株安も重しとなり、先物に断続的な売りが出て、一時▲504円の2万8,118円まで下げ、終値では▲479円の2万8,143円で引けました。

 週末の米国市場は、強弱入り交じる内容でした。非農業部門就業者数は予想を上回る増加の半面、失業率は上昇し平均時給の伸びは小幅でした。しかし、IT企業を主要顧客にもつシリコンバレーバンクの経営破綻でNYダウは▲345ドルの3万1,909ドルと4日続落、為替は大幅なドル安・円高で、1ドル=135.01円となり、シカゴ日経先物は▲335円の2万7,525円でした。