年明け後の市場は、明確なシグナルを発しているとは言い難い
米国債市場も直近では金利上昇の流れが続いているものの、昨年のように大幅利上げが連発されるような状況にはない。大きくみると金利は横ばいの範囲にある。したがって、為替市場も大きくポジションを傾けにくい状況だ。今しばらくレンジ相場(保合相場)が続くのかもしれない。このレンジ相場(保合相場)の中で頻繁に大きな売り買いをするのは得策ではない。
米10年国債金利(日足)

出所:トレーディングビュー・石原順インディケーター
ラジオなどでお伝えしているように、昨年10月時点の株式のショートやアンダーウエートのポジションがおおむねカバーされたので、株式市場のここからの上値は限定的だろう。
筆者の予想通り、株式市場は退屈なレンジ相場となっている。恐怖と欲望指数の70以上は戻り売りゾーンだが、3月1日現在は「56」と、センチメントも相場の真ん中(やや強気)に位置している。
恐怖と欲望指数

恐怖と欲望指数の推移

S&P500CFD(日足)

出所:楽天MT4・石原順インディケーター
S&P500種指数全体の上昇の大部分は、赤で示したFAANGとMNT(マイクロソフト・エヌビディア・テスラ)の8銘柄の成績である。
FAANGとMNTのS&P500指数への寄与度

出所:ゼロヘッジ
筆者はテスラとエヌビディアの売買は続けているが、まあ、全体としてはレンジ的なつまらない相場である。
エヌビディア(日足)

出所:トレーディングビュー・石原順インディケーター
テスラ(日足)

出所:トレーディングビュー・石原順インディケーター
繰り返し述べているが、年明け後の市場は、明確なシグナルを発しているとは言い難い。現在の相場は投資サイクルの最も難しい段階にある。そのため、株式市場も為替市場もレンジ相場になっている。
バンク・オブ・アメリカのハートネットは、「株式投資家は先送りされた大災厄に向かっている。米国株の上昇は行き過ぎであり、年後半に景気急減速なら激しい売りに直面するだろう。大災厄が先送りされていた場合に、最も痛みが大きい」と述べている。
FRB(米連邦準備制度理事会)が利下げを行うまでの株式市場の上昇は、「死の舞踏」かもしれないのである。したがって、長期投資は危険だ。直近の二つの弱気相場を参考にすると、インフレが一段落し、金利の休止期を経て、FRBがいよいよ利下げに入ると、株式市場はさらに18~22カ月間下落を続けることになる。
ナスダック100と米2年国債金利の推移(ドットコムバブル崩壊とリーマンショック)
