今日の為替ウォーキング
今日の一言
すべて疑わしい場合には最初の意見を固守せよ
A Little Less Conversation
世界中でインフレが止まらない。日本の消費者物価は前年比4.0%上昇して、41年ぶりの上昇率を記録した。それでもまだ日銀は大規模緩和政策を継続するつもりだ。新型コロナの時代の方がまだ暮らしやすかったかもしれない。
インフレ率の「前年比」というのは、1年前と比較して今日の物価がどれだけ上がったか(下がったか)という意味だ。今日のインフレ率は、1年前の活動が制限されていたロックダウン経済と、解除されたアフターコロナ経済を比較しているのだ。ロックダウン中の物価は異常に低かったり、全く売れない商品は適当に値づけされていたりした。したがってインフレ率の数値が急上昇するのは、当然といえば当然だ。
主要先進国の統計機関では、CPIのバスケット(消費者が購入する代表的な財・サービスの組み合わせ)を固定し、このバスケットに含まれる財・サービスの購入に必要な価格の変化を計測することで指数を計算している(ラスパイレス指数型物価指数)。
消費者物価指数のバスケットは、過去の消費パターンを元に作成される。消費習慣というのはそれほど変化しないため、これまであまり不都合が起きることはなかった。ところが、新型コロナ感染流行とエネルギー価格ショックが人々の消費パターンを短期間のうちに劇変させた。その結果、消費者の物価感覚と統計が示すインフレ率にはこれまでにないほどの開きが発生している。
食料品や日用品が大幅に値上がりするなかで、消費者は少しでも安い商品を求めてディスカウント・スーパーで買ったり、PB(プライベートブランド)に切り替えたりするようになった。ガソリン代が高くなると、休日の車の運転を減らしたり、公共交通機関の利用を増やしたりする。
しかし消費者物価指数は、このような行動パターンの変化を把握しない。消費者は今でもブランド品を正価で買っていることになっている。別の見方をするならば、見た目のインフレ率よりも実際の消費力はそれほど低下してない可能性がある。
だからといって、値上げが今後もこのペースで続いていけば、近い将来日本の消費力が低下するのは確実だろう。米国の消費者信頼感調査によると、米国人の自動車や住宅の購入、旅行の意欲が最低水準になるまで低下している。英国でも1月小売売上高が約50%もダウンした。