4月の株主優待銘柄

 2023年の4月優待株は、月末の4月29日、30日が土日のため、権利付き最終日が4月26日(水)、権利落ち日が27日(木)。権利確定日は4月28日(金)になります。

 4月26日(水)中に優待株を購入し、翌27日(木)まで持ち越せば、優待権利を取得できます。通常よりかなり早いのでご注意ください。

 年間最多の優待株782銘柄※が勢ぞろいした3月優待から一転、4月の優待株は26銘柄※と少数精鋭です。

※楽天証券 株主優待検索より

 4月優待には人気の高い旅行会社、美容品メーカー、回転ずしチェーン店の他、魅力的な飲料会社の自社商品優待や飲食チェーンの食事券優待、J-REIT(ジェイ・リート:国内の不動産投資信託)系優待、不動産会社のクオカード優待が多いのが特徴です。

 飲食系や食品系の優待で人気ランキング8位以下には、

  • 総菜店「RF1」や「神戸コロッケ」などを展開するロック・フィールド(4月末は200株・投資金額約31.1万円で1,000円分、5年以上継続保有で1,000円分増額。10月末は100株以上で一律1,000円分のそうざい券)
  • チョコやナッツ類の食品メーカー・正栄食品工業(4月末・10月末に100株以上でチョコ、ナッツなど自社商品セット)
  • 「町田商店」「豚山」などのラーメンチェーン運営のギフトホールディングス(4月末・10月末に100株で、店舗の券売機ボタンからどれでも1つメニューを選べる優待電子チケット2枚。1年以上継続保有で3枚に増える)
  • 「椿屋珈琲」のほか、「イタリアンダイニングDoNA」なども運営する東和フードサービス(100株で4月末に1,500円分、10月末に1,000円分の優待食事券)

 などがあります。

 4月優待株の人気第1位は、旅行代理店のエイチ・アイ・エスです。

 4月・10月末に、100株保有で旅行商品購入の際に使える株主優待券2,000円分が贈呈されます。

 優待券は旅行代金1万2,000円以上について1枚、2万4,000円以上について2枚を上限に利用できます。

 また、同社が愛知県蒲郡市で運営するシーサイドリゾート施設「ラグーナテンボス」の入園割引券500円分も贈られます。

 同社は新型コロナ禍で主力の海外旅行事業が大打撃を受け、2020年10月期から2022年10月期まで3期連続で巨額赤字を計上。

 今2023年10月期の業績予想も未定のままです。

 2022年9月には長崎県佐世保市のハウステンボスを売却。2022年10月末の優待からは、ハウステンボスの入園割引券の贈呈はなくなりました。

 ただ、最新の2022年12月の海外旅行売上はコロナ前の2018年12月の30%近く、国内旅行売上に関しては1.3倍近くまで回復しています。

 株価は2022年後半以降、2,000円台前後で低迷していますが、今後の業績回復に期待がかかります。

 第2位は美容家電や化粧品販売のヤーマン。4月末に100株保有で、同社の直販サイト「ヤーマンオンラインストア」で使える株主優待割引券5,000円分がもらえます。保有期間が1年以上になると7,000円分、2年以上で1万円分、5年以上で1万3,000円分に増額される継続保有優遇もあります。

 同社の美顔器やヘアアイロンは中国で人気絶大です。海外売上高の急成長で2023年4月期も最高益を更新予想。

 にもかかわらず、株価は2018年5月につけた最高値2,788円の半値程度の水準まで下落しており、好業績に比べて株価が割安と見ることもできます。

 第3位は回転ずしチェーンのくら寿司。4月末に100株保有で2,500円分の優待割引電子チケットが発行されます。チケットは1,000円(税込)の会計ごとに500円の利用が可能です。

 第4位は三井物産グループ、イデラ キャピタルマネジメントがスポンサーで、オフィスビルや商業施設、ホテルを運営するJ-REITの投資法人みらい。

 4月末、10月末に1口以上保有で一律に、同社関連のホテル宿泊割引優待が利用できます。2022年4月末の実績では、「グリーンズホテルズ」に会員専用の固定料金、「チョイスホテルズ」にプレミアム料金、「ホテルウィングインターナショナル」に公式サイトの10%割引で宿泊できました。

 第5位は自然調和型の結婚式場を展開するアイ・ケイ・ケイホールディングス。

 4月末に100株保有で、1,500円相当の自社特選菓子が贈呈されます。また、フレンチの有名店「ラ・ロシェル」、同社レストラン施設「キュイジーヌ フランセーズ ラ・シャンス」など計10店舗でランチやディナーが1,000~3,000円程度、割引になる(各店舗で割引額は異なります)レストラン優待券を3枚もらえます。

 第6位は飲食店へ厨房機器の販売・設置などを行うテンポスホールディングス。4月末に100株保有で、同社の協力店舗500店以上で利用可能な優待食事券8,000円分がもらえます。使えるのは子会社の「ステーキのあさくま」のほか、全国各地の居酒屋、和食・日本料理店などになります。

 投資金額約25.3万円で8,000円の食事券は費用対効果の面で魅力的といえるでしょう。

 第7位はお茶など飲料品メーカーの伊藤園。4月末に100株保有で、緑茶や麦茶、青汁など自社製品詰め合わせ1,500円相当が贈呈されます。また同社の通信販売30%割引クーポンも贈られます。

 第8位はJ-REITのいちごオフィスリート投資法人。4月・10月末に1口以上の投資主になると、Jリーグの観戦チケットの抽選に応募する権利が取得できます。

 今回の4月末投資主の応募期間は2023年8月1日から2024年1月末まで。J1、J2、J3の試合の抽選は、各月の前半、後半に分けて行われます。

 抽選頻度が高く、1期間で複数の試合を観戦できる可能性もあるので、サッカーファンにとっては魅力のある優待といえるでしょう。

4月末~5月は相場急変に注意!逆にチャンス!

「セル・イン・メイ」(株は5月に売れ)という欧米の投資格言もあるように、例年、4月後半から5月は3月期決算企業の決算発表が相次ぐこともあって、株価が乱高下しやすい時期といわれます。

 特に2023年3月期決算は、ロシア・ウクライナ戦争などによる資源高や円安による原材料の高騰を値上げで補えない企業の来期業績見通しの悪化が懸念されます。

 2023年1月の消費者物価指数(生鮮食品を除くコアCPI)が2022年同月比4.2%の上昇と、41年4カ月ぶりの高い伸びを示したことで、国内の消費活動が停滞する懸念も出ています。

 そんな中、4月9日には、これまで異次元の量的緩和策で日本株の上昇に貢献した黒田東彦日本銀行総裁が退任。

 学者出身の植田和男氏が新たな日銀総裁に就任する見通しです。

 ちょうど4月優待の権利落ち日と権利確定日にあたる4月27~28日に植田新総裁率いる新生日銀の初の金融政策決定会合も開催される予定です。

 これまでの異次元量的緩和を修正するような決定が出ると、株価にも大きな影響が出るでしょう。

 株主優待株投資は長期保有が基本ですので、逆に株価が大きく下がったときは底値買いのチャンスともいえます。

 4月優待だけでなく、「この優待が魅力的」と思える優待企業にあらかじめ目をつけておき、業績に比べて株価が下がり過ぎと思ったら、長期投資目的で優待株を購入するにはいい時期かもしれません。

 相場の乱高下に巻き込まれないように注意を払いつつ、虎視眈々(たんたん)と有望な優待株の購入チャンスを狙いましょう。