今日の為替ウォーキング

今日の一言

みんな平和について話しているけど、誰もそれを平和的な方法でやっていない- ジョン・レノン

Shy Guy

 FRBが金融政策を決断するうえで、最も重要なデータは何か?FRBはインフレ制御を最重要課題として掲げている。したがって、CPI(消費者物価指数)が下がれば、仕事完了だと考えるのが普通だが、実は違うようだ。

 米国の12月CPI(消費者物価指数)は、インフレ率のピークアウトを示す内容だった。4月までに前年比で+4.0%台に低下、6月には+2.0%以下まで下がっているとの予想も出ている。

 もっとも、実際の物価がこのスピードで急落するわけではない。1年前のインフレ上昇率が非常に強かったため、前年比で比較すると大幅に「下がったように見える」だけだ。物価は高止まりしている。FRBはこの「カラクリ」を百も承知なので、CPIが下がったという理由だけで利下げはしないと明言する。

 FRBが最も重要視しているのは、雇用市場だ。雇用市場で失業率が上昇し、就業者の伸びがマイナスになった場合に、FRBは利下げを含めて真剣に政策変更を考え始めることになる。

 FRBは、失業率を過去最低水準の3.5%前後に維持しながら、インフレ率を2.0%まで下げようとしているが、それはあまりに「楽観的」かもしれない。

 インフレ率を10.0%から5.0%まで下げるのは比較的簡単だろう。ダイエットでも最初の1キロは楽だ。きついのは最後の500グラムなのだ。インフレ率も本当に大変なのは3.0%に下げることだ。それを2年間という短期間で目標値の2.0%以下に押し下げるような「劇薬」を使い続けたなら、米経済は体調を崩し失業率が7.0%を超えて悪化する可能性が高い。

 失業率は「たとえ上昇しても、すぐ下がる。」FRBはそう楽観しているようだが、果たしてどうか。1年半前にFRBは、インフレは「一過性」なので利上げは必要ないと言っていた。

「インフレが下がり、景気(失業率)も悪化しない」のは理想だ。しかし、現実的には「インフレは下がるが、景気(失業率)は悪化する」ことになるではないか。最悪なのは「インフレがさらに上がって、景気(失業率)も悪化する」ことだ。

今週の 注目経済指標

出所:楽天証券作成