今日の為替ウォーキング
今日の一言
誰もが才能を持っている。でも、能力を得るには努力が必要だ – マイケル・ジョーダン
Born To Run
BLS(米労働省労働統計局)が2月4日に発表した1月の雇用統計では、NFP(非農業部門雇用者数)は、予想(19.0万人増)を大幅に上回る51.7万人増となった。ヘルスケアやレジャー部門をはじめとして、広範囲の業種の雇用増に支えられ、引き続き堅調な結果となった。
1月の失業率は1ポイント低下して3.4%。失業率は過去50年間で最も低い水準まで下がり、米雇用市場は「完全雇用」の状態が続いている。
平均労働賃金は、前月比0.3%上昇(前回+0.4%)、前年比4.4%(前回+4.8%)上昇だった。
1月の雇用統計は市場予想を大幅に超える、「大幅な雇用増」と「穏やかな平均賃金の下落」。この内容を巡っては、2つの解釈が成り立つ。
雇用者数の「モンスター級」増加を目の当たりにすると、雇用市場の熱を冷ますというFRBの目的が全く達成されていないことがわかる。NFPは、パウエルFRB議長が望む月10万人程度を遥かに上回っただけではなく、昨年の月平均の20万人増を超える伸びだった。
雇用統計だけではない。求人数や、ADPの民間雇用者数、そして新規失業保険申請件数など、最近の雇用関連のデータはすべて、雇用市場の過熱状態が続いていることを示している。
FRBが「長期間にわたる高金利(Higher for Longer)」を維持する公算が高まっている。次回3月でFRBは利上げを終了するという予想は大きく後退して、あと2回、6月まで継続するだろうという見方が有力だ。株式市場にとってはマイナス。FX市場にとってはドル高要因になる。
しかし、視点を変えると、これだけ大幅かつ急激なFRBの利上げサイクルのなかでも、企業の採用拡大が衰えないということは、米経済の底力を表していると考えることもできる。
パウエルFRB議長は、インフレ上昇の大きな原因に、労働賃金の高騰を指摘している。しかし、今回の雇用統計では、雇用は増える一方で、賃金上昇率は緩やかに低下している。「失業率を上げずにインフレを下げると」いう非情に困難な事業をFRBがやり遂げて、米国経済をソフトランディングに導く可能性が出てきたともいえる。そう解釈するならば、今回の雇用統計は株式市場にとっては良いニュースであり、FX市場にとってはリスクオンのドル安になる。
1月雇用統計の詳細については「こんなに求人あるなんて…すごいな! 米雇用市場」 をご覧ください。