今日のレンジ予測

[本日のドル/円]

上値メドは134.45

下値メドは128.25

米景気:スタグフレーションは避けられない - サマーズ元財務長官
インフレ:ボウマンFRB理事:「インフレを放置するコストとリスクは非常に大きい」
米債務上限問題:米財務省の債務不履行は、そもそも「法律違反」。絶対に起こることはない
カナダ:カナダ中銀の利上げサイクルは終了間近 
NZ:RBNZの政策金利のピークは5.5%か

 2月7日(火曜)のドル/円は「円高」。
 1日のレンジは130.47円から132.71円。値幅は2.24円。 

 2023年27営業日目は132.64円からスタート。先週の米雇用統計をきっかけとしたドル買い戻しの流れは続き、東京時間朝に高値132.71円をつける。前日の高値(132.90円)を意識しながら、パウエルFRB(米連邦準備制度理事会)議長の発言を待つ。

 利上げサイクル終了へ向かうFOMC(米連邦公開市場委員会)のなかで発表された非常に強い雇用統計。

 FRBの利上げ政策を巡り注目を集めていたこの日のインタビューで、パウエルFRB議長は「今年のインフレは著しい改善が期待できる」と発言。これに反応したドル/円は、未明に130.47円まで下落。

 一方でパウエル議長は、「一段の利上げが適切である」との見解を示し、雇用統計については「過熱状態が続くならば、金利のピークをさらに高くする必要がある」と述べた。

 全体としては、過度に弱気にも強気にも偏らないバランスのとれた内容で、いったん円高に振れたドル/円も再び131円に戻して、終値は131.11円(前日比▲1.54円)。

レジスタンス:
132.71円(02/07)
132.90円(02/06)
134.77円(01/06)

サポート:
130.47円(02/07)
130.00円(200時間移動平均)
128.33円(02/03)

「CPI(消費者物価指数)ショック」の次は「雇用統計ショック」がやってきた。昨年末はCPIインフレの大幅下落でドル/円が急落した。今度は雇用統計の就業者の大幅増加で、今度はドル/円が急上昇している。2023年のマーケットのコンセンサスだった「ドル安」は1か月で早くも抜本的な見直しを迫られそうだ。

 週明けからのマーケットは、FRBの終着レートがさらに高くなるという思惑で株式市場が下げ、FX市場はドル高に動いている。とはいえ、終着レートが高くなっても米経済が強さを失わなければ、株高で、リスクオフのドル安である。

 2023年は「ボラティリティのボラティリティ」の時代。市場や経済のシナリオは、これまで以上に急激に変化する可能性がある。マーケットの方向を固定(バイアス・アンカリング)することは、相場分析をしたり投資をしたりするうえで、これまで以上に害となる。相場の世界で生き抜くためには「初志貫徹」よりも「柔軟な考え」だ。

出所:MarketSpeed FXより、楽天証券作成

主要指標 終値

今日の為替ウォーキング

今日の一言

誰もが才能を持っている。でも、能力を得るには努力が必要だ – マイケル・ジョーダン

Born To Run

 BLS(米労働省労働統計局)が2月4日に発表した1月の雇用統計では、NFP(非農業部門雇用者数)は、予想(19.0万人増)を大幅に上回る51.7万人増となった。ヘルスケアやレジャー部門をはじめとして、広範囲の業種の雇用増に支えられ、引き続き堅調な結果となった。

 1月の失業率は1ポイント低下して3.4%。失業率は過去50年間で最も低い水準まで下がり、米雇用市場は「完全雇用」の状態が続いている。

 平均労働賃金は、前月比0.3%上昇(前回+0.4%)、前年比4.4%(前回+4.8%)上昇だった。

 1月の雇用統計は市場予想を大幅に超える、「大幅な雇用増」と「穏やかな平均賃金の下落」。この内容を巡っては、2つの解釈が成り立つ。

 雇用者数の「モンスター級」増加を目の当たりにすると、雇用市場の熱を冷ますというFRBの目的が全く達成されていないことがわかる。NFPは、パウエルFRB議長が望む月10万人程度を遥かに上回っただけではなく、昨年の月平均の20万人増を超える伸びだった。

 雇用統計だけではない。求人数や、ADPの民間雇用者数、そして新規失業保険申請件数など、最近の雇用関連のデータはすべて、雇用市場の過熱状態が続いていることを示している。

 FRBが「長期間にわたる高金利(Higher for Longer)」を維持する公算が高まっている。次回3月でFRBは利上げを終了するという予想は大きく後退して、あと2回、6月まで継続するだろうという見方が有力だ。株式市場にとってはマイナス。FX市場にとってはドル高要因になる。

 しかし、視点を変えると、これだけ大幅かつ急激なFRBの利上げサイクルのなかでも、企業の採用拡大が衰えないということは、米経済の底力を表していると考えることもできる。

 パウエルFRB議長は、インフレ上昇の大きな原因に、労働賃金の高騰を指摘している。しかし、今回の雇用統計では、雇用は増える一方で、賃金上昇率は緩やかに低下している。「失業率を上げずにインフレを下げると」いう非情に困難な事業をFRBがやり遂げて、米国経済をソフトランディングに導く可能性が出てきたともいえる。そう解釈するならば、今回の雇用統計は株式市場にとっては良いニュースであり、FX市場にとってはリスクオンのドル安になる。

 1月雇用統計の詳細については「こんなに求人あるなんて…すごいな! 米雇用市場」 をご覧ください。

今週の 注目経済指標

出所:楽天証券作成

今週の注目テクニカルレベル(ドル/円、ユーロ/円、豪ドル/円)

出所:楽天証券作成

2023年 ドル/円データ