「過去」ではなく「今」を凝視することが必要

(1)テーマを俯瞰すること、(2)複数のテーマ起因の圧力を相殺すること、この二つなくして、現代の金(ゴールド)相場を分析することができないと、述べました。この二つは、以下の考え方を用いることで、実現に近づきます。

図:現代の金(ゴールド)相場分析に役立つ考え方

出所:岸見一郎、古賀史健 著「嫌われる勇気」より筆者作成

 アルフレッド・アドラー(1870年、オーストリア出身の精神科医、心理学者、社会理論家)は、フロイトやユングに並ぶ心理学の巨人といわれています。彼が提唱したアドラー心理学は、自己受容、他者承認、他者貢献を三つの柱とし、原因論を否定・目的論を肯定します。

 また、過去から自分を切り離すこと、「いま、ここ」に強烈なスポットライトを当て続けること、が重要だとしています。

 過去の失敗や成功にしばられると、目の前で起きている事象を、正しく判断することができなくなることがあります。特に「成功」ほど、その傾向が強く、「あの時はあのパターンでうまくいった」「今回もうまくいくはず」と、今を直視せずに、判断してしまう場合が少なくありません。

 これはいまだに「有事だけ」で金価格が動いていると、認識してしまっていることに似ています。こうしたことを避けるため、「アドラー心理学」、特に過去から自分を切り離すこと、「いま、ここ」に強烈なスポットライトを当て続けること、の教えを参考にすることが有効であると、筆者は考えています。