先週の日経平均株価(225種)は前週比145円高。

 週前半は米国のインフレが鈍化してきたことや中国政府が新型コロナウイルス感染を徹底的に抑え込む「ゼロコロナ政策」を撤廃したことが好材料となり、株価は大きく上昇しました。

 しかし、13日(金)の東証株式市場では取引時間中に一時1ドル=128円台まで円高が進み、大幅下落。為替はその後、同日のニューヨーク外国為替市場で1ドル=127円台まで円高が進みました。

 16日(月)~20日(金)の1週間はさらなる急落に警戒が必要です。

先週:インフレ鈍化で米国株上昇。急速な円高進行で日本株は失速!

 先週の米国株はインフレ懸念の後退で力強く上昇しました。

 しかし、インフレ鈍化で米国の金利が低下すると、日本株には困ったことが起こります。

 それが日米金利差の縮小。

 日本株の下げ要因になる急速な円高が進んでしまうのです。

 先週は円高の影響もあり、「強い米国株、それほど強くない日本株」という新たな構図が際立った1週間でした。

 週の前半は、先々週6日(金)に米国の12月雇用統計が発表され、平均時給の伸びが鈍化したことが好感され、日本株も米国株も大きく上昇しました。

 市場が固唾(かたず)を飲んで見守った12日(木)公表の米国12月CPI(消費者物価指数)は前年同月比6.5%の上昇と、伸び率は6カ月連続で下がりました。

 前月比では0.1%の低下と、物価下落に転じました。

 このCPIの結果を受け、市場では「米国の金融政策を決めるFOMC(連邦公開市場委員会)の次回会合(1月31日(火)~2月1日(水))での利上げ幅は0.5%ではなく0.25%に縮小」という期待感が台頭。

 多くの機関投資家が運用指針にするS&P500種指数は前週比2.6%上昇。

 金利低下が株価上昇につながりやすいハイテク株主体のナスダック総合指数は前週比4.8%高となるなど、米国株に強さが戻ってきました。

 一方、13日(金)の日本株は、米CPI鈍化は好材料なものの、その副作用である円高や、17日(火)、18日(水)に迫った日本銀行の金融政策決定会合への警戒感で大幅安になりました。

 さらに13日のニューヨーク外国為替市場で1ドル=127円台まで円高が進んだこともあり、米国株と逆行して、日経平均株価の先行指標である日経平均先物は大幅下落。

 今週16日(月)の日経平均株価も続落して始まりました。

 といっても、先週は中国の経済再開の恩恵を受ける鉄鋼セクターが大幅上昇しました。

 主力の日本製鉄(5401)は前週比11%高で、4年8カ月ぶりの高値を更新。

 鉄鋼株は業績に比べて株価が割安なバリュー株の宝庫で、2023年の人気セクターになりそうな予感大です。

今週:18日の日銀会合結果次第で再び急落!?円高、金利上昇に強い株とは?

 今週の日本株にとって一大事といえるほど重要なのは、17日(火)、18日(水)に開催される日銀の金融政策決定会合です。

 日銀は、短期金利をマイナスに誘導するだけでなく、10年国債を大量に購入することで長期金利を0%近辺に抑え込む「イールドカーブ・コントロール(長短金利操作)」という量的緩和策を行ってきました。

 12月の前回会合では、10年国債の上限金利を突如、0.25%から0.5%に引き上げたことで株価は急落。

 現在、国債市場では海外のヘッジファンドなどが日銀の政策転換を見越して、10年国債を大量に空売りしています。

 それに対抗して、日銀は12日(木)、13日(金)にそれぞれ、1日としては過去最大級となる5兆円規模の国債を購入。

 必死に金利上昇を食い止めようとしていますが、それにも限界があります。

 米国では18日(水)に12月の小売売上高やPPI(卸売物価指数)など、インフレや消費活動の動向が分かる指標が発表されます。

 19日(木)の12月住宅着工件数、20日(金)の中古住宅販売件数など住宅関連指標が大きく落ち込むと、景気後退懸念につながるので要注意です。

 今週からは、米国企業の2022年10-12月の決算発表シーズンが始まります。

 すでに13日(金)には銀行大手のJPモルガン・チェース(JPM)などが決算発表。

 減収減益が目立ちましたが、全体相場の上昇もあって決算発表後の金融株の大半が値上がりしました。

 今週は17日(火)に投資銀行のゴールドマン・サックス・グループ(GS)モルガン・スタンレー(MS)、19日(木)には映画・ドラマ配信のネットフリックス(NFLX)などの発表が予定されています。

 インフレや高金利にもかかわらず米国企業の業績が思った以上に悪くないことが判明して、一気に上昇トレンドに向かう流れに期待したいところです。

 ただ米国株が上昇しても、日銀の金融政策の変更や急速に進む円高次第では、日本株だけが独歩安になりかねません。

 金利上昇が大敵になる不動産・建設関連株、有利子負債の大きい企業、円高進行が海外での収益圧迫要因になる外需株は株価が上昇しにくくなるでしょう。

 逆に金利上昇が追い風になる銀行、地方銀行、生命保険株などには引き続き期待が持てそうです。

 また、ニトリホールディングス(9843)サイゼリヤ(7581)など、円高の恩恵を受けやすい輸入企業も有望でしょう。

 18日(水)正午に日銀が再び政策変更を発表すれば、一時的に市場が大混乱する可能性も高いでしょう。

 ただ、長年、デフレが続いた日本で米国並みに金利が大幅上昇するとは考えられません。

 日銀の方針が明確になって混乱が収束した後は、有望企業の株を割安で仕込むチャンスかもしれません。