今日の為替ウォーキング

今日の一言

シンプルさは究極の洗練である-レオナルド・ダ・ヴィンチ

Wouldn't It Be Nice

 世界の主要経済圏では、所得から消費者物価上昇率を差し引いた「実質所得」がマイナスになっている。給料は変わらないのに物価が急上昇しているからだ。実質所得の落ち込みぶりは激しく、不況時にしかみられないような水準まで落ち込んでいる。

 日本では2022年11月の実質賃金が前年同月比マイナス3.8%となった。2014年5月以来、8年半ぶりの落ち込みだ。実質賃金の前年割れは8カ月連続となる。食品や光熱費など物価の上昇に対して政府・日銀が十分対応していないとの指摘もある。

 しかし、中央銀行はエネルギー価格上昇が生むインフレをコントロールすることはできない。日銀は油田を持っていないのだ。したがってインフレを抑制するためには「需要を減らすこと」が日銀にとって唯一の選択肢となる。

 例えば自家用車の運転の自粛を求め公共交通機関の利用を促進させる、あるいは節電や工場の休業を要請するなどだ。しかし、実質所得がすでに不況レベルにあるときに、需要を減らしすぎるのは危険な戦略である。日銀は経済成長かインフレ抑制かの政策ジレンマに悩んでいる。

 エネルギー節約という意味では、WFH(在宅勤務)も効果がある。一般的な会社の仕事場は、平均すると1日約5時間しか使用されていないが、照明や冷暖房はそれよりもはるかに長時間使用されている。週に3日自宅で仕事をすることで、欧州では1日あたり50万バレルの石油を節約できるという。

 WFHは、通勤時間を業務の時間に使うことができて効率的だけではない。子育て中の女性にとっては、通勤時間を気にすることなく、自分のスキルに見合った仕事を探すことが可能になる。長期的視野に立った場合、現金支給よりもはるかに少子化対策として効果的だ。

今週の 注目経済指標

出所:楽天証券作成