11月雇用統計のレビュー

 11月の米雇用統計には、FRBが期待していたような労働市場のクールダウンを示すような証拠はどこにも見当たりませんでした。

 11月の雇用統計では、NFPは、ヘルスケア部門やサービス業の雇用が堅調で、事前予想(20.0万人増)を超える26.3万人増となりました。2022年の1月から11月までの平均雇用増は45.8万人。2021年の52.0万人と比較すると、雇用の伸びは鈍化しています。また失業率は3.7%で、前月比横ばいでした。

 平均労働賃金は、前月比0.6%上昇、前年比では5.1%上昇。パウエルFRB議長は、インフレ上昇の大きな原因に労働賃金の高騰を指摘していますが、賃金上昇率はFRBのインフレ目標に見合う水準を少なくとも1.5%上回っています。

 労働市場の調整は、従来予想されていた供給サイドからではなく、需要サイドから来る必要があるとFRBは考えています。つまり、需要後退による企業のリストラが増えることによって、インフレが低下するのを待つしかないということです。