銀行株の一斉高はポジティブサプライズ

 もう一つは「銀行株の一斉高」です。今回の日銀の動きが株価にとってポジティブになったのは「銀行」、「保険」の金融株が中心です。

 金融セクターには「金利上昇は運用環境の改善につながる」というイメージが強くあり、これまでの低金利下で苦しんでいた銀行、保険企業の収益が改善すると期待されました。

・三井住友フィナンシャルグループの6カ月日足チャート

赤:出来高移動平均(5日)
青:出来高移動平均(25日)
緑:出来高移動平均(75日)

・第一生命ホールディングスの6カ月日足チャート

赤:出来高移動平均(5日)
青:出来高移動平均(25日)
緑:出来高移動平均(75日)

 とりわけ株価上昇が目立ったのは「銀行株」です。メガバンクを筆頭に、中堅行、信託銀行、地方銀行の多くの株価が上昇しました。当然、急伸後の株価一服はあると思われるものの、来年にもあり得る「日銀も認めるマイナス金利終了時」には再び急動意となることが想定されます。

 他方、上述したように黒田現総裁の任期は2023年4月8日ですが、副総裁2名の任期は2023年3月19日までです。

 総裁と副総裁が同時に退任する可能性もあり(その場合は3月19日に黒田総裁は退任する)、その前に新総裁と新副総裁の候補者が政府によって国会に提示されることになり、具体的には2023年2月中旬から下旬とみられます。

 この時を見て、株式市場では「マイナス金利終了」が取りざたされるかもしれません。

 このような想定ができることからも、2023年はまず銀行株に注目することになりそうです。実は銀行株には10万円で投資できる銘柄が多数あります。ここではメガバンク、大手行、地方銀行からそれぞれ銘柄選別を行いました。

 株価データは2022年12月22日終値ベース。

三菱UFJフィナンシャル・グループ(8306・プライム)

 国内最大の民間金融グループ。三菱UFJ銀行を核に信託、証券、カード、リースなどを展開しています。

・1年日足チャート

赤:出来高移動平均(5日)
青:出来高移動平均(25日)
緑:出来高移動平均(75日)

りそなホールディングス(8308・プライム)

 5大銀行グループの一角。傘下にりそな、埼玉りそな、関西みらい、みなとの4行を擁します。

・1年日足チャート

赤:出来高移動平均(5日)
青:出来高移動平均(25日)
緑:出来高移動平均(75日)

コンコルディア・フィナンシャルグループ(7186・プライム)

 傘下に地銀首位級の横浜銀行と東日本銀行を擁します。神奈川、東京を軸に1都1府7県に展開しています。

・1年日足チャート

赤:出来高移動平均(5日)
青:出来高移動平均(25日)
緑:出来高移動平均(75日)

千葉銀行(8331・プライム)

 資金量は地銀最大級、預り資産も地銀最上位級です。千葉県では断トツ、東京23区、埼玉、茨城にも店舗を展開しています。

・1年日足チャート

赤:出来高移動平均(5日)
青:出来高移動平均(25日)
緑:出来高移動平均(75日)

九州フィナンシャルグループ(7180・プライム)

 2015年に鹿児島銀行と肥後銀行が経営統合し誕生。鹿児島、宮崎、熊本に展開し、総資産で地銀8位です。

・1年日足チャート

赤:出来高移動平均(5日)
青:出来高移動平均(25日)
緑:出来高移動平均(75日)