はじめに

 今回のアンケート調査は、2022年11月28日(月)~11月30日(水)の期間で行われました。

 11月末の日経平均株価は2万7,968円で取引を終えました。前月末終値(2万7,587円)からの上げ幅(381円)は、10月分(1,650円)と比べると小幅にとどまりましたが、月足ベースで2カ月連続の上昇となっており、株価の戻り基調が続いた格好です。

 あらためて11月の日経平均の値動きを振り返ると、月の初めに開催された米FOMC(連邦公開市場委員会)が売り材料となって軟調なスタートでした。

 ですが、その後は米金融政策の利上げペースの鈍化が見え始めたことをはじめ、原油価格の下落や米国の経済指標などに見られるインフレのピークアウト感などによって上方向を目指しやすい地合いだったこともあり、米中間選挙や日米企業決算への反応、新型コロナウイルスの感染拡大などの材料をこなしつつ、株価の上げ下げを繰り返しながら下値と戻りの水準を切り上げていく展開となりました。

 このような中で行われた今回のアンケートですが、2,200名を超える個人投資家からの回答を頂きました。日経平均のDIについては、前回に続いて株高見通しを維持する結果となりましたが、為替の見通しについては、米金利の上昇傾向が一服したこともあって、円高への見通しが優勢の結果となっています。

 次回もぜひ、本アンケートにご協力をお願いいたします。

日経平均の見通し

「株価の戻り基調強まるも、先高観への自信はまだ?」

楽天証券経済研究所 シニアマーケットアナリスト 土信田 雅之

 今回調査における日経平均見通しDIの結果は、1カ月先がプラス5.16、3カ月先はマイナス4.68となりました。

 前回調査の結果が、それぞれプラス5.12と1.83でしたので、1カ月先がわずかに強気へ傾く一方で、3カ月先は、やや強気の見通しを後退させたことになります。今回の調査期間(11月28日~11月30日)の日経平均が下げていたことも影響していることを考慮すれば、あまり弱気に傾かなかったと言えます。

 実際に、回答の内訳グラフを見ると、両者ともに全体的に中立派が多数を占めている状況が読み取れますが、短期目線の1カ月先について細かく見ていくと、強気派の割合(27.25%)は前回(28.51%)よりも微減にとどまっており、むしろ調査期間中の日経平均の下落を「買い場」として捉えているようにも感じられます。

出所:楽天DIのデータより楽天証券経済研究所作成
出所:楽天DIのデータより楽天証券経済研究所作成 

 反対に、3カ月先については前回よりも強気派の割合の減少幅が大きくなっています(30.41%から25.75%に減少)。

 そのため、今回の調査結果からは、「確かに、足元で相場の下値不安は後退しているが、中長期的に買い上がっていく強さにもまだ足りていない」といった印象を受けます。

 2022年相場も12月に入って残り1カ月を切りました。足元の相場環境を見渡すと、来週12月13~14日に開催される米FOMCや、同じく13日公表予定の米11月CPI(消費者物価指数)などの注目イベントを控えて様子を探る地合いとなっています。

 日経平均は2万8,000円台を意識しつつも、上値を伸ばせない状況が目立っていて、海外株市場などの外部要因に左右されやすく、とりわけ二つの外部要因に留意しておく必要があります。

 その一つめは米国です。足元の米国株市場は、年末に株価が上昇しやすいという経験則や、来週のFOMCでの利上げ幅縮小観測などが相場を支えていますが、その一方で、米金融政策の引き締めの長期化による景気後退懸念も台頭してきています。

 今後の展開は景況感とインフレ動向次第ですが、さえない経済指標が発表される一方で、インフレの落ち着きが進まない状況となった場合には、スタグフレーションへの警戒で株価が下落していく展開もあり得ることになります。

 そして、二つめは中国です。新型コロナウイルスへの対策をめぐって大規模な抗議活動が各地で頻発するなど、中国情勢が市場の注目を集める場面が増えてきました。

 もっとも、足元の市場はこうした中国情勢に対して楽観的な見方が優勢です。あれだけの抗議活動が行われれば、中国当局もいわゆる「ゼロコロナ政策」の見直しを迫られることになり、経済活動が本格的に再開されるのではというシナリオが背景にあるようです。

 確かに、世論の声に押されて政策の見直しや修正が行われることは珍しくありませんし、中国においても、厳しすぎる規制を緩和する動きが出始めています。とはいえ、これまでの中国は国内の抗議活動に対して力で押さえつけることが多かったことを踏まえると、現時点での楽観シナリオは危うさを抱えています。

 例えば、このような流れで政策の見直しが行われてしまうと、「騒げば自分たちの要求が通る」という実績を作ることになり、今後もこうした国民からの抗議活動が活発になって、歯止めが効かなくなる恐れもあります。そのため、中国当局はある程度の妥協の姿勢を見せつつ、今回も力で押さえつける可能性は高いと考えられます。

 中国はゼロコロナ政策以外にも、中国恒大集団をはじめとする不動産セクターの債務問題を発端として、地方政府の財政悪化や金融機関への影響、鉄道などの不採算公共事業などへと懸念が拡大してしまう火種もくすぶっています。

 したがって、年末にかけての日本株は底堅い半面、警戒感が緩和されるにはもうしばらく見極めていく必要がありそうです。

楽天DI  2022年11月 

楽天証券経済研究所 根岸 美知代

【今月の質問1】 米国株を買ったことがありますか。

出所:楽天DIのデータより楽天証券経済研究所作成

【今月の質問2】 どのような米国株を買いましたか、また、買いたいですか。(複数選択可)

出所:楽天DIのデータより楽天証券経済研究所作成

「米国株を組み入れている投資信託またはETF(上場投資信託)」を選んだ方が43.0%でした。「個別銘柄」を選んだ方が37.5%でした。「個別銘柄」よりも「米国株を組み入れている投資信託またはETF」を選んだ方が少し多かったです。

【今月の質問3】 米国個別株でおすすめの銘柄があれば一つだけ銘柄名を教えてください。 

 ベスト10の発表です。

出所:楽天DIのデータより楽天証券経済研究所作成

※上記はアンケート結果集計で、楽天証券の推奨ではありません。

 今回もたくさんのご意見をありがとうございました。