オン・セミコンダクター

1.2022年12月期3Qは、25.9%増収、6.5%営業増益

 オン・セミコンダクターの2022年12月期3Q(2022年7-9月期、以下今3Q)は、売上高21.93億ドル(前年比25.9%増)、営業利益4.25億ドル(同6.5%増)となりました。

 今3Qの事業別売上高を見ると、パワー・ソリューションズ・グループが11.16億ドル(同25.1%増)と今2Qに引き続き好調でした。最新の炭化ケイ素系パワー半導体のEV向けが好調でした。アドバンスト・ソリューションズ・グループも7.34億ドル(同19.7%増)と順調でしたが、この事業の中に撤退中の事業と需要が軟化している民生向け半導体(スマートフォン、パソコン、白物家電など)が含まれているため、伸びは抑えられました。インテリジェント・センシング・グループは自動車向け(自動運転向け)、産業向け(各種監視用等)イメージセンサが好調だったため、3.42億ドル(同44.7%増)と大幅に伸びました。

 また、産業別に見ると、自動車向けは8.74億ドル(同51.8%増)と大幅に伸びました。EV(電気自動車)向けパワー半導体、EV、ガソリン車の自動運転向けイメージセンサが好調でした。産業向けも6.13億ドル(同27.8%増)と順調でしたが、一部の産業向けが景気減速に伴い鈍化している影響が出ました。その他は7.06億ドル(同2.8%増)と伸びが止まった状態ですが、これは景気減速に伴う民生向けの減少と採算が悪いため撤退中の事業がその他に含まれているためです。

 今3Qの売上総利益率は48.3%と前3Q41.4%から大きく改善しました。ただし、世界で4工場を生産体制再構築のために売却中であり、のれんと無形固定資産の減損2.72億ドルが発生したため、営業増益率は6.5%増に止まりました。これがなければ74.4%営業増益となっていました。

表4 オン・セミコンダクターの業績

株価(NASDAQ)    73.99米ドル(2022年12月1日)
時価総額    32,030百万ドル(2022年12月1日)
発行済株数    448.7百万株(完全希薄化後)
発行済株数    432.9百万株(完全希薄化前)
単位:百万ドル、ドル、%、倍
出所:会社資料より楽天証券作成。
注1:当期純利益は親会社株主に帰属する当期純利益。
注2:EPSは完全希薄化後発行済み株式数で計算。ただし、時価総額は完全希薄化前発行済み株式数で計算。
注3:会社予想は予想レンジの中心値。

表5 オン・セミコンダクターの事業別売上高:四半期

単位:100万ドル
出所:会社資料より楽天証券作成

表6 オン・セミコンダクターの分野別売上高:四半期

単位:100万ドル
出所:会社資料より楽天証券作成

2.自動車向けの好調続く。2023年12月期も業績好調が予想される。

 今4Qの会社側ガイダンスは、売上高20.10~21.40億ドル、売上総利益率47.0~49.0%、研究開発費を含む販管費3.23~3.38億ドル、完全希薄化EPS1.20~1.36ドル、完全希薄化発行済株式数4.49億株です。これより、会社側ガイダンスの中心値は売上高20.75億ドル(前年比12.4%増)、営業利益6.67億ドル(同38.9%増)、当期純利益5.75億ドル(同35.0%増)となります。

 今4Qも自動車向けは好調が続くと思われますが、産業向けの一部が減速していること、不採算事業、非中核事業からの撤退が進んでいることから、売上高の伸びは鈍化すると予想されます。

 なお、のれんと無形固定資産の減損は、今2Q1.15億ドル、今3Q2.72億ドルと続きましたが、今4Qの会社側ガイダンスには含まれていないと思われます。今4Qに最後の1工場の売却が完了する見込みなので、今4Qものれんと無形固定資産に減損が発生する可能性があります。

 2023年12月期も自動車向けの好調が続くと思われます。会社側によればLTSA(長期供給契約)が複数年で141億ドル分あり、その中心が炭化ケイ素(SiC)系パワー半導体です。そのため、2022年12月期に続き2023年12月期も、炭化ケイ素系パワー半導体と自動車向けが業績を牽引すると予想されます。

 今3Qまでの実績と今4Qの会社側ガイダンス、今3Q決算電話会議の内容等から、楽天証券ではオン・セミコンダクターの業績を、2022年12月期売上高83億ドル(同23.1%増)、営業利益23.20億ドル(同80.2%増)、2023年12月期売上高102億ドル(同22.9%増)、営業利益33億ドル(同42.2%増)と予想します。2022年12月期、2023年12月期とも前回予想から小幅下方修正しますが、これは今期については今3Qののれんと無形固定資産の減損と民生向け、一部産業向けの需要減少によるもの、来期については民生向けと一部産業向けの需要減少が来期も続くと予想したためです。

 ただし、下方修正はしましたが、引き続き業績好調が続くと予想されます。

表7 オン・セミコンダクターの事業別売上高:年度

単位:100万ドル
出所:会社資料より楽天証券作成

3.今後6~12カ月間の目標株価は、前回の95ドルを維持する。

 オン・セミコンダクターの今後6~12カ月間の目標株価は、前回の95ドルを維持します。楽天証券の2023年12月期予想EPS5.93ドルに高い成長性と景気後退リスクの両方を考慮して想定PER15~16倍を当てはめました。

 引き続き中長期で投資妙味を感じます。

表8 パワー半導体売上高ランキング

単位:100万ドル
出所:TECH+より楽天証券作成(元出所はOmdia)

本レポートに掲載した銘柄インテル(INTC、NASDAQ)オン・セミコンダクター(ON、NASDAQ)