2.企業型確定拠出年金がある会社に転職した場合

 次に企業型確定拠出年金が導入されている会社へ就職・転職した場合です。今年の9月までは企業型確定拠出年金が導入されている会社では、iDeCoに加入するのは現実的には非常に難しかったのですが、10月からはiDeCoも同時加入できるようになりました。したがって、この場合はいくつかの選択肢があります。

(1)転職した会社の企業型に加入する

 この場合は二つの選択肢があります。

1.新たに企業型に加入すると同時にそれまで積み立ててきたiDeCoの資産も企業型へ移して一緒に運用する。

 この場合はiDeCoの資産を企業型に移す手続きが必要となります。

2.転職した後のこれからの分は企業型に加入して会社掛金を運用するが、それまで積み立ててきたiDeCoはそのままiDeCoで運用を続ける。

(2)企業型とiDeCo、両方に加入する

 これは「転職して企業型に入ると同時に自分で掛金を出してiDeCoに加入し続ける」という場合です。この場合、転職した会社に「確定給付企業年金」があるかどうかで出せる掛け金の額が異なりますので、それまでに自分が積み立ててきたiDeCoの掛金上限額とは違ってくる可能性があります。「確定給付企業年金」がある会社の場合は月額1万2,000円、無い会社の場合は月額2万円となります。 

 また、この場合は会社の出す掛金と合計して上限金額を上回ることができません。例えば確定給付企業年金のある会社の場合、会社の出す上限金額は2万7,500円ですが、もし会社の出す掛金が2万円の人の場合、自分で出せる上限は1万2,000円ではなく、7,500円ということになります。詳しくは転職先の会社の事務局に聞いてみるのが良いでしょう。

 また、企業型確定拠出年金にマッチング拠出(従業員拠出)の制度がある場合、iDeCoかマッチング拠出のどちらかしか積み立てることができません。

【iDeCo活用術】

「iDeCo(イデコ)と就職、転職、退職。年金資産は持ち運びできる」

iDeCo(イデコ)活用術[2]公務員・専業主婦(夫)になったらどうする?

iDeCo(イデコ)活用術[3]自営業・フリーランスになったらどうする?

教えてくれたのは…

 

大江英樹(おおえ ひでき)
経済コラムニスト
大手証券会社を定年退職後、(株)オフィス・リベルタスを設立。確定拠出年金、資産運用、行動経済学、セカンドライフ支援の専門家として各種メディアへのコラム執筆、講演やテレビ出演多数。