日経平均は冬入り、循環の次の節目は?

 この1年の日経平均株価(225種)は、おおむね2万5,000円から3万円の範囲内で、上がったり下がったりを繰り返しています。私は日経平均の動きを景気循環で捉えていますが、日経平均の底値圏を探る上で、ファナック(6954)の在庫循環を参考にしています。

 そのファナックが10月27日に2023年3月期第2四半期の決算を発表しましたので、その決算内容から日経平均の底値圏の終わりがいつごろになりそうなのかを探っていきたいと思います。

 まず、日経平均と景気循環との関係ですが、日経平均は不況の中で上昇し始め、景気回復から好況にかけて大きく上昇、その後、好況の中で日経平均は下げ始め、景気後退で下落し、不況を迎えるという循環を、おおむね3年半のサイクルで繰り返しています。

(図1)景気循環に伴う株価のイメージ

出所:マネーブレインが作成

 (図1)のように、おのおのの局面を独自分析に基づいて「春」「夏」「秋」「冬」という季節になぞらえていて、現在は分析上、11月4日に「冬」入りをしたところとなっています。

(ご参照:2022年11月10日掲載「日経平均に冬到来のシグナル点灯!景気循環の変わり目に要警戒」

 「冬」は、「冬(前半)」と「冬(後半)」に分けていて、「冬(後半)」が過去においては底値圏から上昇し始める局面となっています。その「冬(後半)」の時期を、私はファナックの在庫循環から求めています。

ファナック決算から探る反転時期

 ファナックの在庫循環について見ていきましょう。

(表1)ファナックの在庫循環

*青枠は売上高、棚卸資産がともに前年比で減少した最初の四半期
出所:ファナック株式会社の決算短信を基にマネーブレインが作成

 青枠は、四半期決算において、売上高と棚卸資産がともに前年比で減少した最初の四半期です。この青枠で示した四半期決算の発表日を日経平均のチャートにプロットすると、次のようになっています。

(チャート1)日経平均株価とファナックの在庫循環との関係

*青矢印は、表1「ファナックの在庫循環」において青枠で示した四半期の決算発表日
出所:日経平均株価は日本経済新聞社公表データを基にマネーブレインが作成

(表2)ファナックの決算発表日と日経平均株価の終値

*決算期は、表1「ファナックの在庫循環」において青枠で示した四半期
出所:日経平均株価は日本経済新聞社公表データを基にマネーブレインが作成

 (チャート1)において、青矢印で示したファナックの四半期決算における売上高と、棚卸資産がともに前年比で減少した最初の四半期の決算発表日が、日経平均のおおむね底値圏になっているのが見て取れると思います。

 そこで探りたいのが、次に青矢印のタイミングがいつ来るのかですが、10月27日に発表された2023年3月期第2四半期決算においては、売上高は2,045億円となり第1四半期の2,115億円から減少しました。一方、棚卸資産は第1四半期の2,778億円から3,168億円と大幅増、前年比でも62.64%増と拡大しています。

 このため、売上高、棚卸資産がともに前年比で減少するのは、在庫調整が大きく発生して棚卸資産が減れば、2024年3月期第1四半期の決算発表日(2023年7月下旬ごろ?)、在庫調整が大きく発生しなければ、2024年3月期第2四半期の決算発表日(2023年10月下旬ごろ?)になるのではないかとみています。

 過去においては、「冬(前半)」は、大きく下げやすいという傾向がありますが、「冬(後半)」は、上がったり下がったりの横ばいから上がり始める時期となっています。

 3カ月ごとに発表されるファナックの四半期決算において、売上高、棚卸資産がともに前年比で減少したことが見て取れるのを虎視眈々(こしたんたん)と待ち構え、それが明らかになって、かつ日経平均が底値圏にある場合には、買いのポジションを大きく取っていくチャンスだと考えています。

 投資はあくまでも自己責任で。