今日の為替ウォーキング

今日の一言

Money can’t buy me love = お金で愛は買えない – ザ・ビートルズ

You Really Got Me

 マーケットでは日々様々な材料が登場しているが、どのように計算しても答えは「ドル高」になる。

 本格的な冬が近づく欧州では、エネルギー不足の深刻化で来年の景気後退入りはもはや避けられない状態だ。ウクライナ戦争は停戦の道筋が全く見えないどころか、ロシアは核や生物化学兵器を使用する可能性さえいわれていて、地政学リスクは一段と高まっている。

 英国の格付け見通しは、ネガティブに引き下げられた。格下げは珍しいことではないが、その理由のひとつが「政治不安」というのは、先進国では異例のことだ。

 MMT(現代貨幣理論)的経済政策を掲げたトラス英首相はあっという間に辞任に追い込まれ、後任にスナク元財務相が就任した。前首相のジョンソン氏は今回の立候補を断念したが、いまだ保守党内の最大派閥であり、自分を裏切ったスナク新首相との関係は良好とはいえないようだ。英国の政治不安はまだ終わりではない。

 経済構造の変革期にはアンチ政党に支持が集まるといわれるが、欧州ではイタリアやスウェーデンに極右内閣が誕生した。移民政策やロシア制裁を巡って欧州内の足並みが乱れるおそれがある。

 中国では、ゼロコロナ政策を今後しばらく継続する方針だ。中国の経済成長は目標を達成できないことが明らかになるなかで、新しい党最高指導部に経済の専門家がいないことに失望の声もきかれる。

 中国は、ゼロコロナ政策を来年まで継続する方針で、中国の経済再開はまだ先になる。新しい党最高指導部に経済専門家が不在であることもマーケットには失望だった。中国GDP(国内総生産)の1/4を占めている不動産市場では、不良債権が8兆ドルまで膨張している。これはドイツのGDPの2倍の規模である。ウクライナ戦争の次は中国不動産危機がだといわれている。

 世界経済の3割以上が、来年までに景気後退に陥る」と、IMFは警告する。世界がエネルギー不足に苦しむ姿を傍目にOPEC+(オペックプラス)は大幅減産を断行して、世界的インフレをさらに悪化させることに一役買っている。景気不安は社会不安につながる。今年の世界各地での暴動は昨年の2倍以上に増えていた。

 米国の経済は堅調だ。9月雇用統計は堅調なペースを維持し、CPI(消費者物価指数)は市場予想を上回った。FRB(米連邦準備制度理事会)の不断の努力にもかかわらず、雇用市場の過熱は続き、インフレ率は高止まりしている。

 それに比べると米国の経済は堅調である。たしかにインフレ率は高止まりしたままだが、米国のインフレは「需要インフレ」であり、欧州や日本のような「供給(輸入)インフレ」とは違う。ある意味、米国の経済の元気が良すぎるのだ。FRB(米連邦準備制度理事会)の連続大幅利上げでも米国の労働市場は強さを維持している。

 金利の低い国からお金を借りて金利の高い国に預ける。弱い国の通貨を売って強い国の通貨を買う。これは合理的な取引である。ドルは唯一無二のセーブヘブン通貨だ。

今週の 注目経済指標

出所:楽天証券作成