今日の為替ウォーキング

今日の一言

政治家の発言は、それが公式に否定されるまでは信じてはいけない

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 日銀の緩和政策の副作用が、急激な円安となって現れている。

 為替介入のおかげで円安速度は緩やかになったのだが、今月160円に行くはずだったのが数カ月延びたということにすぎず、円安トレンドに揺るぎはない。

 為替は日銀の管轄外であると、黒田総裁は他人事のような発言をしている。ただ、政府も本気で円安を止めようとする考えがあるのか疑問だ。鈴木財務相は「投機による過度な変動は絶対に容認できない」と繰り返しながら「円安にはメリットがある」とツンデレしている。

 レトリックを用いて本当の意図を隠しているが、結局のところは「円安のスピードは良くないが、円安は良い」というのが政府日銀のスタンスなのだ。

 政府は6月10日から海外観光客の受け入れを2年ぶりに再開した。10月11日からは、1日当たり5万人だった入国者数上限を撤廃し、インバウンド(訪日客)の個人ツアーを解禁した。

 日本を訪れる外人観光客は、2013年から2020年まで7年連続で史上最高を更新し、2019年に3190万人に増加した。ところが、新型コロナの影響で翌2020年には前年比約9割減の412万人まで急減した。

 政府は、新型コロナ前のインバウンド景気華やかなりし時代をどうしても忘れることができない。入国制限の撤廃を機に、景気をさらに盛り上げるために「サステナブルな円安」が必要なのだ。

 急激に円安が進みすぎると、反動で急激に円高に戻るおそれがある。マーケットでは為替介入の効果に疑問の声が多いが、円安を「生かさず殺さず」大事に育てようとするのが為替介入の目的だとすれば、今のところ為替介入は「成功」だと政府日銀は自己評価しているだろう。

今週の 注目経済指標

出所:楽天証券作成